何故目を閉じてしまったんだろう。雨宮くんのこと好きなわけじゃないはずなのに、彼のペースから抜け出すことができない。
くるであろう唇への柔らかな衝撃に備えていると、代わりに固い何かが唇に触れた。驚いて目を大きく開くと、雨宮くんが人差し指を曲げ、関節の部分で私の唇に触れていた。
夜の街のネオンに照らされた彼の表情は、どこか真剣で。
「――――へぇ、目を閉じてくれるとは思わなかった」
「……っっ!!」
「優しいだけじゃ物足りないって言うから、頰でもつまんでやろうとしてたんだけど」
雨宮くんの言葉を聞くと同時に、私の顔は一瞬で茹でタコのように真っ赤になってしまった。信号が青になり、唇に触れる指を叩き落とすと私は歩き出す。
馬鹿にされた。酷い、あんまりよ。あんな顔で見られたら、誰でもキスされると思うじゃない。
さっきまで触れられていた唇を手の甲で何度も拭う。
「待って、高城」
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