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うわぁ~~‼️危機一髪でしたね....😱😱😱 陸さんが救ってくれて良かった🙏🥺 でも 華子さんの今後が心配です😔
華子は重森や母、弘子や義妹の栞ちゃんのことと自分の不出来な部分を全て葬って終わりにしたかったのかな…でも死んだらやり直せないし現に陸さんが華子を救ってくれた。これから先は?陸さんの粗治療⁉️😅
『お前は他の男にもちょっかいを出していただろう? 俺は軽い女は嫌いなんだ。だからお前の事は最初から遊びだったんだよ。お前も俺の事は遊びだったんだろう?』
その時、華子の頬を涙が伝った。
確かに、重森と付き合っていた時に他の男性と食事や飲みに行った事はある。
しかし、それは決して本気ではない。
重森はそれまで何度も浮気をしていたので、もし重森と駄目になった時の事を考え、
何人かのボーイフレンドをキープしていただけだ。
そのボーイフレンド達とは、やましい事は何もしていない。
しかし、重森は信じてくれなかった。
(フフッ、いまだに思い出すなんて…初めての失恋は尾を引くって何かで読んだけれど、本当だったわね)
華子の瞳にはさらに涙が溢れてくる。
(そう言えば、先日会った栞ちゃん、生き生きと輝いていて素敵だったな……)
華子には以前、異母姉妹がいた。
祖父母がふらふらしている母・弘子を心配して、
知り合いに頼んで見合い相手を探した。
弘子は親の言う通りに見合いをし、素直にその相手と再婚した。
その時、華子には二歳年下の義理の妹が出来た。
妹の名前は『栞』だった。
弘子の結婚生活は四年ほど続いたが、その後両親は離婚する。
離婚の原因は、弘子のホスト狂いと浮気だった。
だから、今華子と栞は赤の他人に戻っている。
華子は先日野崎の神戸出張について行った。
その時、飛行機の中で偶然栞に再会した。
栞はキャビンアテンダントになっていた。
元々栞は成績も優秀でしっかりした子だった。
おそらく、CAになる事は彼女の夢だったのだろう。
彼女はコツコツと努力をし、確実に夢を掴んだ。
夢を叶えた栞は、とても美しく輝いていた。
(何の努力もしなかった私には罰が当たったのね)
華子は力なく笑う。
(なんか疲れちゃった…死んだらリセットって出来るのかな…)
そう考えた瞬間、華子の足取りは急に軽やかになる。
そして華子の足は、意志を持ったように『そこ』を目指した。
それを見ていた陸は、嫌な予感しかしなかった。
華子はフラフラと吸い込まれるように踏切の遮断機へ近づいた。
そして、次の瞬間その遮断機をくぐり抜けると、
電車が来る線路の上まで歩いて行き、
突然両手で耳を塞いでその場にしゃがみ込んだ。
その動きには、強い決意が感じられた。
それを見た踏切の向かい側にいた女性が、大きな叫び声を上げた。
「キャーッ! やめてーっ!」
カンカンカンカン…….
踏切の警報音は鳴り続けている。
その時、電車の音がして快速電車が勢いよくこちらへ走って来るのが見えた。
踏切手前の線路はカーブになっているので、
運転手はまだ華子に気づいていない。
その瞬間、陸は走り出した。
緊急停止ボタンを押してももう間に合わない。
陸は遮断機を軽々と飛び越えると、
踏切内でうずくまる華子を抱き起こし、乱暴に肩に担いだ。
そして素早く電車が来ない方の線路へと移動する。
死を決意していた華子は、その瞬間何が起こったのか分からなかった。
気づくと、自分は誰かの肩に担がれている。
その時電車が、
「ファ―――ンッ、ファア―――――――――ンッ!」
と、長い警笛音を鳴らし続けた。
しかしブレーキはかけずにそのまま通り過ぎて行く。
間一髪だった。
先程叫んだ女性は、ホッとした様子で二人の方を見ていた。
陸は華子を担いだまま遮断機の手前まで行くと、
華子を地面に下ろして遮断機をくぐらせてから、
華子の手をしっかりと握り踏切の外へと引っ張り出した。
華子はその力強い手を必死に振り払い、また線路内へ戻ろうとしたので、
陸は大声で言った。
「バカ野郎っ! すぐに鉄道会社の社員と警察が来るぞ! 面倒に巻き込まれたくなかったら、俺について来い!」
陸の大声で我に返りハッとした華子は、
陸に引っ張られるようにしてその場を後にした。
陸の手は華子の手首をしっかりと掴んでいた。
華子の手は小刻みに震えている。
華子は今頃になって、自分がしようとしていた事に気づき、
震えが止まらなくなっていた。
華子はパニックになったまま、
陸に引っ張られるようにして、今歩いて来た道を戻って行く。
陸は店まで戻ると、華子を連れて中へ入った。
そして、そのままカウンターへ向かうと卓也がびっくりした顔をしている。
「陸さん、その人……」
「ああ、ちょっと奥の休憩室を借りるぞ」
「あっ、はい……」
卓也は小刻みに震え顔面蒼白の華子を見て、ただならぬ雰囲気を感じた。
あまりにも陸の真剣な様子に、それ以上何も聞けなかった。
客の一部が華子に気付いたようで、チラチラとこちらを見ている。
陸はそんな事にはお構いなしに、
バックヤードにあるロッカールーム兼休憩室へ華子を連れて入った。
華子を椅子に座らせると陸はまたフロアへ戻り、
卓也に温かい飲み物を頼んだ。
そして再び戻って来ると、華子の前に座り華子をじっと見つめた。