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「おっ……おにーさん……?」
薄茶のつぶらな瞳に、おずおずと見上げられた圭。
「じゃあ、撮った画像、確認してみるか」
「うっ……うん」
圭がスマートフォンの画像フォルダを開くと、穏やかな笑顔の彼に対し、美花はハートマークを作ったまま、瞳を僅かに見開き、唇が『お』の形に写っている。
「ひゃぁっ……私、すっごい顔してるっ」
「いや、これはこれで…………美花さんらしいんじゃないか?」
「ええぇ……? もう一回撮り直したいよ……」
まだ写り映えに納得していない美花に、圭が顔を近付けさせる。
「じゃあ、銀杏並木がライトアップされたら…………また二人で撮ろうな?」
「…………分かった。そうす……る……」
圭が上着のポケットにスマートフォンを滑り込ませた後、照れた表情を浮かべている美花の手を再び繋ぎ、夕日に照らされた銀杏並木の下を歩き始めた。
日も暮れた頃、銀杏並木に明かりが灯され、多くの人々が歓声を上げた。
二人が後ろを振り返ると、遠くに見える絵画館もオレンジ色の光を纏い、存在感を主張している。
仄明るい街路樹が一斉に鮮やかな黄色に染められ、圭と美花の頬も、明かりでほんのり色付いている。
「あ! おにーさん、ライトアップしたよ! いっぱい写真撮らなきゃっ」
美花が絵画館へスマートフォンのカメラを向け、シャッターを切っている。
華奢な背中を見つめながら、圭はスマートフォンを手に取ると、美花の後ろ姿をフレームに捉えた。
ライトアップで、輝きを増した艶髪が美しい。
と同時に、圭の中で迫り上がっていく、美花への止まらない想いと慕情……愛おしさ。
ずっと燻っていた想いを伝えるのなら、今なのかもしれない。
「美花……」
掠れた声色で小さな背中に向けて呟き、手にしていたスマートフォンを、ブラックのスキニーチノのポケットに捩じ込む。
背後から美花に近付いていき、細い身体を強く抱きしめた。
「っ…………え? おっ……おにーさん!?」
彼の腕の中で、美花が繊麗な身体をビクッと震わせると、圭は抱きしめる腕に、さらに力を込めた。
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