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翌朝目が覚めると美月はホテルの広いベッドの上にいた。隣りを見ると海斗がぐっすり眠っている。

今日は先に起きて朝食の支度をする必要もない。だから海斗の寝顔をゆっくり眺めていられる。


窓の外には昨夜は見えなかった八ヶ岳の雄大な景色が広がっていた。

空は真っ青に澄み渡り夏雲がゆったりと流れて行く。今日も天気は良さそうだ。


美月は窓の外へ向けていた視線を海斗へ移す。その時海斗が目を覚ました。

海斗は美月を見ると少しかすれた声で、


「おはよう」


と言って美月にキスをした。海斗の瞳は優しさと愛情に溢れている。

それからベッドの上でうーんと伸びをしてから美月に言った。


「今日は少し観光をして帰ろうか?」

「観光?」

「うん、ほら、普通のカップルが行くような場所に行ってみようか。美月が行きたい所に」


美月はみるみる笑顔になる。


「私、清泉寮のソフトクリームが食べたい」

「よし。じゃあ清里に行くか」

「嬉しい」


美月は嬉しそうに笑った。


二人はもう一度テラスの温泉へ入ってから朝食を食べにレストランへ向かう。

窓際の席に案内された二人は高原の爽やかな景色を堪能しながらゆっくりと朝食を取った。


食後のコーヒーを飲んでいると海斗が言った。


「たまにはこういう旅行もいいね。また来よう」


美月は嬉しそうに頷いた。


その後荷物をまとめてロビーへ下り海斗がフロントでチェックアウトの手続きをしていると佐伯が事務所から出て来た。そして美月に声をかける。


「ホテルはいかがでしたか?」

「とても快適に過ごせました。星空がとても素晴らしくて一生の思い出になりました」


その時佐伯は美月の足元にある三脚とカメラバッグを見て驚いた顔をした。


「もしかして星をお撮りになるのですか?」

「はい、まだ初心者ですが、昨夜初めて天の川を撮る事ができました」


美月は嬉しそうに答える。

そこへチェックアウトを終えた海斗がやって来た。


「美月は天体写真撮影が趣味なんですよ」

「ほほう、それは良いご趣味ですな。この辺りの冬の空は透明度が高く今よりももっとダイナミックな星空が見えますよ。今度は是非冬にいらしてください」

「はい、是非」


美月は笑顔で返事をした。

それから二人は佐伯に見送られてホテルを後にした。


「さーて、それでは清里へ向かいますか」


海斗は車に置きっぱなしにしていたメガネをかけるとアクセルを踏んで車をスタートさせた。



二人が乗った車はまず最初に清泉寮を目指した。

三十分ほどで目的地へ着くと、二人はさっそくソフトクリームを買う。

そして広い牧場が見渡せるベンチへ座り新鮮なミルクを使ったソフトクリームを食べた。


「濃厚で美味しい」

「うん美味い」


美月が夢中になって食べていると口の端にクリームがついてしまった。本人は気づいていないようだ。それを見た海斗は笑いながらキスでそのアイスをすくい取った。

突然キスをされた美月は目をぱっちり見開いてキョトンとしていた。それが可笑しくて海斗は声を出して笑う。

アイスを食べ終えた二人は羊や牛などの動物たちを見てから車へ戻った。


次に二人は萌木の村へ行く。ここも美月が行きたいと希望した場所だ。

二人は手を繋いで中を散策しあちこちに点在する雑貨の店を見て回った。


ある雑貨店で美月は天使の形をしたガラス細工に心を奪われる。買おうかどうしようか悩んだ末旅の記念に買う事にした。

美月が会計に向かおうとした時海斗がその天使をサッと奪いレジへ行って会計を済ませる。そして美月に天使を渡した。

美月は思いがけない海斗からのプレゼントに嬉しそうだった。


萌木の村を出た後、ちょうど昼時だったので二人は森の中にある小さなレストランへ入る。

ログハウス造りの可愛らしい店はハンバーグが絶品の店のようだ。

二人は窓際の席に向かい合って座ると、早速ハンバーグランチを頼んだ。


料理が来るまでの間、二人は窓から見える餌が置かれたバードフィーダーに来る野鳥の名前当てクイズをする。

次々飛んで来る野鳥を見てスマホで調べて名前を当てるというものだ。

二人はムキになって必死に検索する。


2対2の引き分けとなった。


その後二人は美味しいハンバーグランチを堪能した。


二人はこの日普通のカップルがするようなデートを清里でして新鮮な気分を味わった。普段東京で人目を気にしながらデートをしている二人にとってはとても新鮮な気分を味わえた。


その後二人の乗った車は東京へ向かった。

明日美月は早番だった。そして海斗も朝からスタジオでの仕事が始まる。だから夕方の渋滞に巻き込まれないよう二人は少し早めに清里を出て高速に乗った。



「本当に楽しかった。ありがとう」


帰りの車の中で美月が礼を言うと海斗も笑顔で答える。


「どういたしまして。今日みたいな普通のデートも楽しかったね」


車は高速を快適に飛ばして東京に入る。窓の外の景色が見慣れた風景に変わっていく。

美月のアパートに着いたのは夕方だった。


「疲れただろうから今日はゆっくり休むんだよ」

「ありがとう。海斗さんもゆっくり疲れを取ってね」


美月が車を降りる際海斗は美月にキスをした。

そして美月が車を降りると海斗の車はマンションへ戻って行った。


美月は笑顔で手を振りながらいつまでも海斗の車を見送っていた。




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