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1話 苦衷
おはようございます
始業を告げる鐘の音と共に先生の声が静かな教室へ響く
どうせ分からない授業、勉強なんて大嫌い…
黒板にチョークを叩く音をBGMに。こんな妄想を僕はいつもする
嫌になる程青い空を見上げながら、もういっそ天使になってしまえたらどんな気分だろうー
終業のチャイムが響く教室、煩いくらいの生徒の声の中
一際綺麗な声で話しかけてくるやつがいる
「ツバサ!一緒に帰ろ?」
まるで女の子のような容姿で、男子生徒の学生服を着る蒼《あお》
「嗚呼、今日もお前ん家行ってもいい?」
「ごめん、今日は…」
「あ、そっか…。お父さんと面会の日だっけ、いいよ。」
「ありがとう!明日は遊ぼうよ!今日父さんに新しいゲーム買ってもらう約束してんだ!」
蒼は無邪気に笑っているが、両親が離婚していて月に1度お父さんと面会している。
今日はその面会の日ということらしい。
帰り道、重い足を引きづって、それでも蒼が居るから並んで歩く
「でね、ウチの猫のマーがね!」
蒼の長い髪が風に揺れる
「…って聞いてる!?」
「あ、ごめん髪伸びたなって思って」
「あはは!ツバサが伸ばして欲しいって言たから伸ばしたのに何それ!」
「それは…」
蒼が女の子みたいに可愛いから、いっそ女の子になって、僕を救って欲しかったから。
「ツバサ…?」
「ううん、なんでもない。」
いつもの分かれ道でさよならをして自分の家に帰ってきた。
「ただいま」
誰もいない家に響く
両親は居ない。
父さんは幼かった僕に性的虐待をして、母さんは父さんと離婚した。
母さんは僕が中学に入ると同時に、毎晩夜の店に働きに行くようになった。
最近は朝になったら知らない男を連れ込むようになっては日に日に荒れている様子だ。
そんな家庭環境から唯一の希望である幼なじみの蒼。
僕は蒼が好きだ。
蒼が男でありながら変だと思っていたが、父親が男色趣味なのだ。
遺伝であろう。
そんな自分が嫌で、蒼に髪を伸ばさせて女の子になればいいのになんて馬鹿げた発想だ。