テラーノベル
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翔太のSNSに、ライブの時の写真が掲載された。俺は、その時現場でロケ弁を食べていたのだけれど、ぽろり、と思わず箸を取り落とした。
『阿部さん?大丈夫?』
共演者の声が遥か遠くに聞こえる。
俺は思わず呟いた。
💚「天使……?」
共演者は引き気味に微笑むと、手に持っていたコーヒーを片付けに席を立った。
その後続きの仕事で向かったグループ楽屋。
今日は少し変則的だけど、歌番組の収録が入っている。一刻も早く翔太に会いたくて、局の間の移動を急がせてしまった。運転しているマネージャーが怪訝な顔をしている。
到着した途端、エレベーターを待つのももどかしく、俺は目的の階まで非常階段を一番飛ばしに駆け上がって行った。
🧡「阿部ちゃん、おはよー」
🩷「にゃは。どうかした?」
💛「おはよ」
💜「おいおいどうした?息切らして」
💚「……いない……」
まだ集まっているメンバーは半分ほど。急いで来たのにいないじゃないか。
舌打ちして、どっかと席に着く。
目黒が近寄ってきて言った。
🖤「しょっぴー、撮影押してるって。まだ来てないよ」
💚「あぁん???」
思わず語気荒く睨みつけてしまい、慌てて深呼吸した。落ち着け。俺。
携帯を取り出し、耳にあてた瞬間、求めていた人物が現れた。
💚「翔太ぁ♡」
駆け寄り、抱きしめ、キスをした。
💙「やめろ、なんだ、いきなり!」
💚「ねぇ見たよ、何あの写真。地上に天使が舞い降りたのかと思っちゃった。俺、天使とライブしてたの?光栄すぎるんだけど」
見下ろす翔太の顔が真っ赤だ。
何なら突き飛ばされて、身体が離れた。傷つく。
💚「美しすぎて呼吸困難になったんだけど!翔太責任取ってよ。お弁当の味もわからなかったんだから」
💙「ああもう、黙れ。やめろ。わかったから」
翔太はつれない返事をして、俺を押しのけ、鏡の前で慌ただしく化粧直しを始めた。
なんでよ、もっと相手してよ……。
興奮が抑えきれず、周りを見渡すと、ふと舘さんと目が合った。困ったようににこやかにされる。俺は舘さんをむんずと、捕まえた。
💚「見た?この写真っ!」
❤️「まあ落ち着きなさい、阿部」
近くにあった椅子に座るよう促される。
💚「俺本当に天使っているんだなって思って」
❤️「わかったわかった」
💚「あー翔太を閉じ込めたい。独り占めしたい。それなのにみんなにも共有したい。わかる?俺のこの気持ち?」
❤️「わかったよ」
舘さんの、俺の肩に添えられた手に力がこもる。叫び出したいくらい興奮しているのに、目が落ち着け、と言われているようで、俺は深呼吸した。
❤️「よしよし」
💚「…………ふぅ」
🤍「阿部ちゃん、ほんっっっとにしょっぴーのこと好きだよね」
💚「え?バカなの?好きとかいう次元じゃない。愛?愛とかでも足りない。もう命ごと魂ごと翔太に捧げてるの。わかる?」
❤️「ラウール、薪をくべて燃やすな。せっかく阿部落ち着いてたのに」
🤍「あ、俺、余計なこと言った?」
❤️「大分ね」
🖤「阿部ちゃん阿部ちゃん、しょっぴー怒ってるから。もういい加減に、ね?」
💚「…………あ」
ここが家じゃないことをすっかり忘れていた。
でも翔太が悪くない?あんな、扇情的な写真で全世界を誘惑するんだから。
その日。
せっかく一緒に仕事だったのに、自分を抑えきれなかった俺は、ことごとく翔太に冷たくされ、家に帰ってもしばらく口をきいてもらえませんでした…とほほ。
おわり。
コメント
17件
いや、あのインスタの写真はマジで天使だった😂😂😂
定期的なあべなべ非常に助かります。
🤣🤣🤣 阿部ちゃん最高!!!ww あれ、本当に天使でしたよね!!🪽