鋼谷と篠田は、冥王会が進める「虚無の手」の儀式が、都市の消滅を超えた壮大な計画であることを知った。それは、想像を絶する異能の力が必要となる儀式であり、冥王会の狙いは錆の都の消失にとどまらず、世界規模で異能を暴走させることだった。
「異能出力が、アメリカの一年分の電力使用量の八倍だと…?」鋼谷はその報告を受け、冷や汗をかきながらつぶやいた。
情報部から渡されたデータには、冥王会が使用する「虚無の手」の儀式に必要なエネルギー量が記載されており、それは一国の電力消費を遥かに超えるものだった。その力が発動すれば、周囲の異能者のみならず、錆の都自体が文字通り「無」に帰するだけでなく、その範囲は予測できないほど広がることになる。
篠田もその数字を見て、顔を曇らせた。「これほどの異能者がいるとは思わなかったが、逆に言えば、この計画を止められる者もまた少ないということだな。」
鋼谷は深いため息をつきながら、決意を新たにした。「無力でいるわけにはいかない。この異能を暴走させないためにも、冥王の計画を止めなければならない。」
その瞬間、篠田が静かに言った。「だが、お前一人では無理だ。冥王会の力を前に、異能者たちの助けを借りる必要がある。――俺たちは、連携するべきだ。」
鋼谷は目を鋭くし、篠田を見つめた。「その通りだ。俺の力だけでは足りない。だが、誰を信じ、どこまで動けるか…。それが次の戦いだ。」
鋼谷は手元の地図を眺めながら、冥王会の拠点があると思われる場所を指し示した。「まずは、冥王会の幹部たちを排除し、奴らがこの異能を集中させる場所を突き止める。それから、異能を操る者たちを集め、連携して儀式を止める方法を見つけ出す。」
篠田は頷き、深く息を吐いた。「最も賢明な方法だ。冥王会の中心部に突入する前に、どれだけの準備を整えられるかが鍵だな。」
そして二人は、錆の都に残る時間を使って、冥王会の計画を阻止するための戦略を練り始めた。
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