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佐久間くんと思いがけずあんな事になって、俺もかなり動揺してたんだと思う。
いつもなら気付いて踏み留まるところなのに、何も考えずに踏み込んで。結果、きっと佐久間くんに嫌な思いをさせてしまった。
すぐに思い至ってメッセージを送ったけど、既読は付いたのにしばらく返事がなくて。
やっぱり怒ってるよなと反省してたところにぽつんと返ってきたのは『気にすんなよ』なんて、定型文もいいところな返事。
直接謝りたいって思ったけどお互いに忙しくて、ようやく佐久間くんに会えたのはそれから5日後のこと。
そこで俺は、ショックを受ける事に遭遇するんだけど…寧ろショックだったことが衝撃だった。
個人での仕事を終えて入った楽屋。みんながわいわい話している中で、一際元気な声が聞こえてきた。佐久間くんだ。
とりあえずは元気そうな事に安堵して、でも気遣い屋の佐久間くんがあからさまに傷付いた顔なんてするわけないよなって思い直す。
何て謝ったらいいかなんて分からないけど、声を掛けないと始まらない。
「あの、佐久間くん」
「……ああ、蓮。おはよ、お疲れ」
振り返った佐久間くんはいつも通り笑顔で。
だけど、違う。
佐久間くんが俺に見せるのは、こんな笑顔じゃない。
「どうした? 何かあったか??」
「あ、いや…」
「何にもないなら、行くな。呼ばれてるみたいだから」
そう言って佐久間くんはあっさりと俺から離れていった。
何も言えずにその後ろ姿を見送る俺に、それまで佐久間くんと話していたふっかさんに「大丈夫か、めめ」と声をかけられる。
大丈夫。じゃない。
線を引かれたって、そう思った。もうここから先には入ってくるなよって。
同時に、佐久間くんが俺を好きだって言ったのは本当なんだなって実感する。
俺を見付けた佐久間くんは、いつも眩しいくらいの笑顔で。嬉しそうに駆け寄ってきては抱き着いたり、腕に絡みついたりしてた。
その時は何にも気付かなかったけど、今なら分かる。
俺に会えて嬉しいって思ってくれてたんだ。キラキラした笑顔でほんのり頬を赤らめて、俺のこと、一生懸命好きでいてくれたんだ。
でも、今の佐久間くんは違う。
穏やかな笑顔だけど俺のことをちゃんと見ない。俺に絡んでこようとしないし、何より触れようとしない。
もう、捨てたの? 俺への恋なんてもういらなくなった?
そんな身勝手な思いが頭をよぎって、何よりも俺が驚いてる。
俺、何でこんなに動揺してるんだろう。
結局謝ることも出来ないまま、その日の仕事が終わった。
何度か声を掛けようとしたけれど、佐久間くんはすぐに察知して上手く逃げていく。
謝りたい内容が内容なだけに、誰かが近くにいる時にはしたくない。それを逆手に取っているのか、俺が声を掛けようとするタイミングで必ず誰かの側にいる。
そうまでされたら、理解せざるを得なかった。
佐久間くんはもう、俺への恋は捨てたんだって。
俺はもういらないんだ。
あんなに俺を求めてくれたのに。俺の名前をたくさん呼んで『もっと』って『いっぱいちょうだい』って、あんなに欲しがってたのに。
こんなに簡単に捨てられるの? 何で俺はそれがこんなに辛いんだろう。
ただ、もう二度と腕の中にあの熱さを抱きしめられないって。その現実が苦しいのだけは分かる。
気持ち良くて蕩けそうな表情も、甘く響く啼き声も、溶けそうなくらいの熱さも、嗅ぐだけで高揚しそうな香りも全部。
俺にはもう、手に入らないものなんだ。
「…もう一度だけでも、いいから……」
口からそんな言葉がついて出る。
その内容にびっくりして、思わず自分の口を押さえた。俺、今、何を言った…?
信じられない気持ちで自分の言葉を反芻して、そしてようやく気付いた。
ああ、そっか…俺とっくに…。
気付いた時には欲しいものはもう手が届かなくなってるなんて、滑稽過ぎて笑いしか出て来なかった。
仕事の忙しさのピークがようやく終わって、やっと更新出来ました
今回はめめのターン
コメント
9件
はぁ…分かるわぁ( *´ㅅ`)⁾⁾ウンウン 無理してるさくちゃんも 失ってから気付くめめたんの気持ちも そうなんよ~ うちの子も、距離置かれて気付きましたわ やっぱり大切なモノは近すぎると気付かないもんなのね(( ˘꒳˘ *)) でも水瀬さんのめめたんは気付いたら行動が早そう-w-w 頑張れ、めめ₍₍٩(*ˊᵕˋ*)۶⁾⁾ さくちゃんを幸せにするのだ!!


さっくんの覚悟が痛いほど切ないですね🥺 それに気づくめめもまた切なくて…それがまた良いです🥹 好転すると信じて🩷🖤
#こじだて
雪だるまひとひと💙
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