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管野アリオ
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#大人ロマンス
桃下結衣
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重田💋(omoda)
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食事を終えると、車で来ていた界人が陽向を送っていくことになった。
「今日は本当にありがとうございました」
「気をつけて帰ってね」
「こちらこそ、夕飯ご馳走様」
「近いうちにまた来るから!」
二人を玄関先で見送り、エレベーターに乗るのを見届けると朝陽と亜佑美は家の中へ戻った。
その後、細々した物の片付けをしたり交代で風呂を済ませると時刻は午後十一時を回っていた。
二人はソファーに並んで腰を下ろし、それぞれビールの缶を手にする。
「……なんか、こうして二人で晩酌するのもいいね」
亜佑美が缶を傾けながら呟くと、隣に座る朝陽が笑う。
「そうですね」
しばらく他愛のない話をしていた二人だったが、やがてこれからの生活について話し合うことになった。
「これから一緒に暮らすにあたって、ある程度は決めておいた方がいいですよね」
「うん。でも、あまり細かい決まり事は作らない方がいいかなって私は思うの。お互い無理すると続かないし」
「確かに」
朝陽は一度考えるように缶を眺めると、何かを閃いたのか口を開いた。
「じゃあ、逆に……これは譲れないっていうことはありますか?」
「うーん……特にないけど、私の方が会社から近いから平日の夕飯は基本的に私が担当するよ」
「それなら、朝食は俺が担当します」
「確かに……朝陽くんの方が早起きだもんね」
「でもまあ、出来る方が出来ることをすればいいかなって、俺は思ってます」
「だね。私もそれでいいと思う」
「これまでも一緒に過ごしてきましたけど……正式に同棲っていうと、また新鮮な感じがしますね」
「うん。二人の家、だもんね」
「……何だか照れますね」
「ふふ、そうだね」
顔を見合わせ、二人して照れ笑いを浮かべる穏やかな時間の中で、ふと亜佑美の胸に一つの思いが浮かんだ。
「……朝陽くん」
「はい?」
呼びかけに朝陽が亜佑美の方を向くと、亜佑美はは少しだけ迷う素振りを見せたあとで言葉を口にする。
「一つだけ、お願いがあるの」
「何ですか?」
「…………今から、敬語で話すの……やめてほしい」
「…………」
「陽向くんと話してるところを見てると……私も、そんなふうに話してもらいたいなって思いが強くなって……今日から正式に同棲するわけだし、もうそろそろ良いかなって……駄目、かな?」
朝陽が自分に対して敬語を使うのも性格を考えれば仕方のないことだと分かっている。
一度話した時も徐々に慣れるということは言っていたけれど結局直らなかった。
こだわる必要はないと分かっていても、敬語で話されるたびに距離を感じてしまうのも事実で、これまではあくまでも居候のような立ち位置だったからそのままにしてきたけれど、今日からは正式に同棲する。
それなら今このタイミングでこの話をするべきだと亜佑美は思い、自分の素直な思いを伝えたのだ。
そんな亜佑美の気持ちを察したのか朝陽は困ったように眉を下げた。
「……えっと、なんて言うか……敬語を使うことに慣れ過ぎてて、すぐには直らないかもしれない……けど、少しずつ、使わない方向で……っていうのは、どう、かな?」
「……前もそう言ってたけど、全然直ってなかった……」
亜佑美は頬をぷくっと膨らませて拗ねたような表情を浮かべて見せる。
「それは……ごめんなさい……今回はちゃんと直せるよう努力する……から」
そう言ったものの、やはり言葉の端々には敬語が残っている。
「……その、怒らないで……?」
でも、朝陽なりの精一杯なのだと伝わったのか亜佑美の頬から少しずつ力が抜けていった。
「……ふふ……ごめんね。怒ってないよ。分かった。今度こそ少しずつでいいから慣れてね?」
「……はい」
「ほら、また敬語」
「……あ」
指摘された朝陽が気まずそうに口を閉じるも、その様子がおかしくて亜佑美はとうとう声を上げて笑うと朝陽もつられるように笑った。
コメント
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読了しました……「二人の家」っていう言葉がすごく響きましたね。敬語をやめてほしいってお願いする亜佑美さん、すごく勇気がいったんだろうな。朝陽くんが「はい」って反射で敬語になっちゃうところ、可愛くてちょっと切なかったです。お互い歩み寄ろうとする距離感が本当に愛おしい。この暮らし、ちゃんと続いていってほしいなって心から思いました。