テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
#普通
野々さくら
543
805
44
ありあ
159
一同がそんな話をしていると、会話を聞いていた宗太郎が感心したように小さく呟く。
「赤迫先生?」
「なに?」
振り返った美月に、宗太郎は困惑した表情を浮かべる。
「なんかみんなの会話、レベル高過ぎません?
いつもこんなハイレベルな会話してるんですか?
俺・・・全く着いて行けないんですけど」
そんな宗太郎の反応がおかしかったのか、美月は小さく笑った。
「この子達ね、凄いのよ。
本当に高校生?って疑っちゃうわ」
宗太郎は改めて信愛達へ視線を向けた。
コンピュータウイルスの話から、トロイア戦争のトロイの木馬へと話を繋げ、最後には今回の人形との共通点まで導き出してしまった。
高校生らしからぬハイレベルなトークに、宗太郎が話にについていけないと思ってしまうのは無理はない。
そんな宗太郎の戸惑いをよそに、信愛が彼へ声をかけた。
「高館先生?」
「え、は、はい。な、何かな?」
突然名前を呼ばれ、宗太郎は慌てて姿勢を正す。
信愛は真剣な表情で宗太郎を見つめた。
「この依頼、引き受ける事
できますけど、どうします?」
その言葉を聞いた瞬間、宗太郎の表情が変わった。
「ぜひお願いしたい」
そして、迷うことなく頭を下げる。
「人形の謎を暴いて、妻を
救って欲しい!この通りだ!」
宗太郎は深々と頭を下げた。
その必死な姿を前に、信愛は静かに頷く。
「なら一度、先生の自宅に行って
人形をこの目で見てみたいんですけど大丈夫ですか?」
「ああ、頼む」
宗太郎はすぐに答える。
「今週の土曜日なんてどうかな?」
信愛は他の部員達へ視線を向けた。
「私は大丈夫ですけど、みんなは大丈夫?
なんか予定とか入ってたりする?」
「私は問題ない」
真っ先に茜が答える。
「同じく!」
さくらも元気よく続き、朝陽と焔垂もそれぞれ頷いた。
「僕も大丈夫です」
「問題ない」
どうやら全員、予定は空いているようだ。
「美月先生は?」
信愛が尋ねると、美月は少し申し訳なさそうな表情を浮かべた。
「ごめんね、私はちょっと
外せない用事があるのよ」
「あら、残念」
茜が肩をすくめる。
美月は宗太郎へと向き直った。
「だから高館先生?みんなの事をよろしく頼むわね?」
「はい!任せてください」
宗太郎は力強く頷いた。
それを確認すると、信愛は改めて予定を決める。
「なら今週の土曜に」
「ああ、頼む」
こうして怪異探求倶楽部は、宗太郎からの依頼を正式に引き受けることとなった。
次なる調査の舞台は、高館家。
そこで彼女達を待っているのは、一見すると何の変哲もない一体の日本人形だ。
◇ ◇ ◇
それから時は過ぎ、土曜日。
約束の時間に合わせ、信愛達は宗太郎が暮らすマンションを訪れていた。
一同は玄関前に立ち、宗太郎がドアを開けるのを待つ。
「どう?信愛?変な感じする?
霊居ます!みたいな?」
さくらの問いに信愛は少し考えるように視線を巡らせる。
「うー・・・ん」
しばらく意識を集中させてみるものの、特に異様な気配は感じられない。
「今のところは無いかな」
その時、玄関のドアが開き、宗太郎が顔を覗かせた。
「とりあえず入ってくれ」
「は、はい」
信愛達は促されるまま玄関へと足を踏み入れる。
「お邪魔します」
すると、何かを思い出したように宗太郎が信愛達を呼び止めた。
「あ、あと!」
「はい?」
宗太郎は少し言いづらそうに間を置いてから、口を開く。
「昨日も言ったけどさ、妻には君らを
課外学習として自宅に招いてるって話してるから」
「だから──」
そこまで言ったところで、茜が呆れたように言葉を遮った。
「分かってるってば。人形の
話はするなって事でしょ?」
「あ、ああ・・・」
宗太郎が頷くと、信愛も静かに続ける。
「そこは問題ありません」
朝陽も真剣な表情で頷いた。
「奥さんを無闇に刺激するような事はしませんから」
「安心してください」
焔垂もそう付け加える。
「あ、ありがとう」
宗太郎は安堵したように小さく息を吐いた。
それを見届けると、さくらが玄関の奥へ視線を向ける。
「なら入ろっか」
「うん、だね」
信愛も頷いた。
宗太郎は改めて玄関を大きく開け、一同を家の中へと招き入れる。
「さあ、入ってくれ」
「お邪魔します」
信愛達はそれぞれ挨拶をしながら、高館家へと足を踏み入れた。
コメント
1件
×××さん、今回も面白かったです!宗太郎先生が「レベル高過ぎません?」って完全に置いてけぼり食らってるの、なんかほっこりしました(笑)。コンピュータウイルス→トロイの木馬→人形の謎、って話の繋げ方が自然で、このメンバーの思考の速さに改めて驚かされました。信愛が霊感を感じ取れなかったのも気になる伏線ですね。次回、高館家で何が待ってるのか楽しみです!