テラーノベル
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皆がリビングへ入ると、奥からひよりが駆け寄ってきた。
「いらっしゃい、よく来たね♬」
しかし、その表情にはいつもの明るさがなかった。
駆け寄ってきたひよりは、信愛達が思わず心配してしまうほどに憔悴しきっていた。
信愛はそんなひよりを、何も言わず見つめる。
その視線に気づいたひよりが首を傾げた。
「ん?どうしたの?」
「あ、いえ・・・」
信愛は慌てて視線を逸らす。
「すいません。大勢で押しかけて来ちゃって」
「いいのいいの、気にしないで」
ひよりは気丈に笑ってみせた。
「ゆっくりしてて。今お茶持ってくるから」
そう言い残し、ひよりはキッチンへと向かっていく。
その背中を、信愛は心配そうな眼差しで見送っていた。
「なんか見るからに疲れ切ってるって感じだよね」
茜が小声で呟く。
「うん・・・」
信愛も静かに頷いた。
朝陽が声を潜めて尋ねる。
「やっぱ先生が言ってた人形のせいなんですかね?」
「どうなんだろ・・・」
今の段階では、まだ何とも言えない。
すると、さくらが部屋の一角に目を留めた。
「あ、もしかして・・・これがその人形?」
さくらが指差した先。
棚の上には、ガラス製のショーケースが置かれており、その中に、一体の人形が静かに飾られている。
「あ、ああ・・・」
宗太郎が重い表情で頷く。
信愛もゆっくりと人形へ視線を向けた。
「こ、これが・・・」
事情を聞いた後だからだろうか。
何も知らずに見れば、ただ飾られているだけの人形のはずなのに、妙に不気味に感じられる。
「なんか話を聞いた後にこれ見ると
不気味に感じから不思議だよな」
「た、確かに・・・」
「何か感じる?」
さくらに尋ねられ、信愛はじっと人形を見つめた。
「うー・・・ん」
しばらく意識を集中させてみる。
しかし――。
「特には感じないかな・・・」
その瞬間。
「っ!」
突然、朝陽がしきりに瞼を掻き始めた。
#普通
野々さくら
543
805
44
ありあ
159
「ん?朝陽くん?」
さくらが不思議そうに声をかける。
「どうかした?」
目元を気にする朝陽に、さくらが声をかけた。
「あ、いや、なんか目が痒くって・・・」
朝陽はそう答えながら、何度か瞬きを繰り返す。
「大丈夫?」
信愛が心配そうに尋ねると、朝陽は小さく頷いた。
「は、はい・・・」
しかし、どうにも気になるらしい。朝陽は少し迷った末、宗太郎へ視線を向けた。
「あの・・・高館先生?」
「ん?どうした?」
「もしかして猫とか飼ってます?」
突然の質問に、宗太郎は不思議そうな顔をする。
「猫?いや、猫は飼ってないけど・・なんで?」
「いや、実は僕、猫アレルギーで・・・」
「猫アレルギー?」
信愛が聞き返すと、朝陽は頷いた。
「はい・・・猫が居る部屋に入ると
目が痒くなっちゃうんです」
「そうだったんだ」
茜は納得したように頷く。
しかし、信愛はすぐに違和感を覚えた。
「でも変だよね?猫が居ないのに
アレルギーの症状が出るなんて」
「そうですね・・・今までこんな事
無かったんですけど」
その言葉を聞いたさくらが、何かを思いついたように口を開いた。
「もしかして、この部屋に猫の霊が居るとか?」
「ね、猫の霊!?」
宗太郎が思わず声を上げる。
「確かにそれは有り得るかも」
信愛はそう呟いたものの、すぐに言葉を濁した。
「でも・・・」
信愛はゆっくりと部屋を見回す。
霊が居るのなら、自分には見えるはずだ。
しかし、部屋の隅にも、家具の陰にも、それらしい姿は見当たらない。
「猫の霊なんて見当たらないんだよね」
「なら違うか・・・」
茜が少し残念そうに呟いた。
「まあ一応、飲むムヒは常備
してるんで、それでなんとかなりますし」
朝陽は平気そうに言う。
「けど無理すんなよ?」
焔垂が念を押すと、朝陽は遠慮がちに頷いた。
「は、はい・・・」
そのやり取りを聞きながら、信愛は再び考え込んだ。
何故猫が居ないのに、猫アレルギーの症状が出たのだろうか。
さくらの言う通り、この部屋に猫の霊が居るのだろうか。
しかし、パッと見猫の霊は見当たらない。
信愛の視線が、ゆっくりと部屋の中を巡っていく。
そして最後に、その目は一つの場所で止まった。
(やっぱ、この人形に何かあるのかな?)
信愛は黙ったまま、そこに置かれた人形を見つめた。
コメント
1件
あー、これ File8 の続きか! また不気味な雰囲気になってきたわね…ひよりの憔悴具合が気になるし、猫いないのに猫アレルギーの症状が出るとか、さくらの言う通り霊的な何かか、それとも人形自体に仕掛けがあるのか。信愛にも見えないってのが逆に不気味さを引き立ててるな。次どうなるか楽しみにしてるわ🔥