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Hanaこと美花が来社する日、圭と柏木は、一階のロビーで彼女が到着するのを待っていた。
四月も中旬に入り、あと少しでゴールデンウィークのせいか、忙しさの中にも、浮き足だった気持ちもある。
今日の打ち合わせ開始時刻も十三時。
柏木は、前回の打ち合わせと同様、どこか緊張している様子である。
「なぁ柏木。Hanaさんは二度目の来社だろ? そんなに緊張しなくても、いいんじゃないのか?」
「いや、緊張するさ。前回、初めてHanaさんに会った時、俺、密かに『DTM界の神、降臨』って思っちゃったもんなぁ」
「とにかく、部長。しっかりして下さいよ」
身体をガチガチにさせている同期の上司に、圭は冷めた口調で言い放つ。
十二時五十分に、美花が正面玄関から入ってきた。
受付を済ませた彼女が、来社許可証を首に掛けると、圭と柏木の元へ歩み寄る。
「こんにちは。今日もよろしくお願いします」
Hanaが圭と柏木に、それぞれ会釈をしていった。
「Hanaさん、お忙しい中、ありがとうございます。では、ご案内します」
圭と柏木が先導して、DTM事業部へ向かった。
前回は会議室で打ち合わせだったが、今回は、スマートミュージックで制作した楽曲を聴くため、会議室の隣にある防音室で行われる。
「どうぞ、お入り下さい」
重厚な扉を開け、圭と柏木が入室すると、Hanaも様子を伺うように入ってくる。
「わぁっ…………すごい設備ですね……!」
彼女が目を輝かせながら、防音室を見回している。
DTM用のパソコンが三台と大きめのスピーカーを始め、マイク、譜面台、キーボードなどが整然と並び、手前には長方形のデスクと椅子が数脚、設置されていた。
まるで、レコーディングスタジオを思わせる室内に、Hanaは、ワクワクしているように見える。
「これ、ありがとうございました。曲のデータも、このまま保存してあります」
彼女が徐に、トートバッグからデモ機と取り扱い説明書を取り出し、柏木に手渡す。
「では、さっそく聴かせて頂いても、よろしいでしょうか?」
「はい。お願いします」
柏木がデモ機を受け取ると、ワイヤレスでスピーカーと接続し、曲を再生させた。
♪Swim Compose@2019♪