10年前の君へ、

｢ごめん、ごめんな愛……｣

｢颯太……！颯太……ねぇ…………｣

｢幸せになれよ、愛……｣

｢颯太とじゃないと幸せになんてなれないよ……｣

10年後

10年前私は颯太と別れた。大好きだった。

10年間ずっと引きずって彼氏もいない。

私も今年で28歳。周りはどんどん結婚していってる。

(はぁ……そろそろ結婚考えないとな……)

(結婚しないと一生お姉ちゃんに親不孝者って笑われちゃうよ……)

(お見合いでもしようかな)

さぁ〜…………

(あ、れ？そ、颯太…………？)

(颯太だよね……！)

｢ま、待って……！待ってください！｣

｢あ、あの！｣

｢……？は、はい？｣

｢そ、颯太……？｣

｢颯太？俺は蓮ですけど……｣

｢え？……｣

(人違いだったの……)

｢あの……｣

｢だっ、だいじょう、え……！！｣

｢うぅ……ｸﾞｽｯ……ﾋｯｸﾞ……｣

｢す、すびばぜん…………｣

｢あ、あの大丈夫ですか……？｣

｢大丈夫です……すいませっ……ん……｣

｢あっ……えっと……あっちに行きましょう｣

ギュッ

｢はい……｣

(颯太じゃなかった……それもそうだけど……ほんと最悪…)

｢どうぞこれ飲んでください｣

｢あ、ありがとうございます｣

｢その、迷惑かけてしまってごめんなさい。大丈夫ですか？｣

｢はい、まぁ大丈夫です。｣

｢あの図々しいですが、どうしていきなり泣いたのですか？｣

｢それが……元彼と似ていて……｣

｢間違えてしまいました｣

｢元彼と……？｣

｢はい、10年間ずっと引きずってて……｣

｢その、今更ですけどびっくりしてしまって……｣

｢じゅ、10年も！？｣

｢凄いですね……｣

｢え？……蓮……？｣

｢…………！｣

｢美月…！｣

｢え？その女人誰？｣

｢ま、まさかっ……う、浮気……？｣

(待って……どういうこと……！)