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倒しては戻り、また倒しては帰る。それを一昼夜繰り返した。
何度も繰り返す内に、ミーネルもなんか慣れてきたような気がする。
さっきなんて、トロンとした潤んだ瞳で出迎えてくれた。
良い事なのか? いやまあそうだと思っておこう。
それにしても、街は酷いものだ。散乱する瓦礫、転がる死体。跋扈する怪物たち。
どれほど倒してもきりがない。
たまに人型かどうかに関係なく人語を話す奴もいたが、それももう何体倒したのか。
と言うか、こいつらと戦うのは何度目だ?
そんな自問をするが、いや初めてだよ。だって俺は戦闘員じゃなかったのだから。
だけどなんか、剣で戦っていたような気もするんだよな。
幸い、剣は直ぐに見つかった。兵士の死体が持っていたからだ。
なぜか一瞬だけ拾う事を躊躇したが、今はそんな事を言ってはいられない――いや、やっぱり以前にも全く同じことを考えた気がする。
――が、まあ気にしても仕方がない。目の前に敵が迫ってきているのだから。
それにしても、本当になぜなんだろうな。
普通は見知らぬ場所に来て、燃え盛る街を見て、かつて逃げ回り、研究していた怪物を見て、さあ戦えと言われて普通に戦える人間なんていないぞ。
いや、まあいいや。そんな疑問は今は外そう。
次元変異とか言われたが、こう言った考えなんかも外せる所を考えると、実体は少し違うのかもしれない。
そんな事を、襲ってくる怪物を切り倒しながら考える。
斬れば斬るほど、何かを思い出せそうな気がする。
それにまだ体が重いし頭もボーっとするが、段々と体が軽くなってくる様な気がする。
そういや、召喚して暫くは……なんだっけ?
何度目かの帰還を果たした時、彼女は下着姿のままベッドで待っていた。
最初っから下着姿みたいなものだったが、まあ長いネクタイの様な前のアレが無くなっているな。
「お待ちしておりました……ど、どうぞこの体を、お好きなようになさってください……」
その言葉で考えていたことは全部とんだ。そして、俺達は結ばれた。
なぜそうなったかは覚えていない。なぜそうしたのかも覚えていない。
でも自然にそうなった……そうとしか言えなかっただろう。
それだけ、彼女が魅力的だったんだよ。
それからも次々倒しまくった。
普通ならボスがいて、それを倒せば終わりなのだろう。
だけどそれっぽい奴がいない。中ボス的に強い奴――というか特殊な個体はいるが、幾ら倒しても減る様子がない。
これは日本で……だけじゃないな。世界中で起きた事と一緒か?
だとしたら個人が幾ら倒しても無駄なのか?
敵は信じられないほど高い壁を越えて次々と増えてくる。
あちこちで人々の抵抗を感じるが、それもどんどん少なくなっている。
無駄なのか? もしかしたら、俺はあの世界で死んで、地獄に落ちたのか?
そして此処でも、絶望を味わいながら死んでいくのか?
いや、諦めるな。
根拠はない。だけど出来る。俺には出来る!
スキルを制御するアイテムだったな。確か同じものはこの世に2つと存在できないが、壊れたら幾らでも出てくるはずだ。
なら、限界までいこう。いや、その先まで。
500メートル――1000メートル。ダメだ、全然足りない。まだまだこの都市すら囲めない。敵はその外にも沢山いるんだ。
頭の中で、何か声が聞こえたような気がする。
強化? 選択肢? 何かを選べ? 幾つもの言葉が重なって全然分からない、もっとはっきりわかるように説明しろ。
だが選ぶとしたら、今欲しい力は――範囲だ!
5000メートル――1万メートル。範囲が広がっていく。その範囲にいる怪物を全て消し去る。
だが残っている奴もいる。こいつらのどれかが本体か?
各所に点在しているが……この距離から行けるか? いや、やる。距離なんて外す。
目標までの間にある空間を外す。目の前に現れたのは、最初に見たような人間型。
だがこちらに気が付く前に、切り刻む。それでも再生しようとするが、今の俺なら対処できる。
ここではない何処かへ飛ばす。時空の彼方へと。
だけどまだまだ敵はいる。雑魚を一掃した時にかなり弱らせたが、それでも相当数が残っている。
全部倒さないと。ここで全て――、
そこで何かが、パキンと音を立てて割れた。それがスキルを制御するアイテムであることはすぐに分かった。
マズい、新しいのを貰いに行かないと。
だけど体がぐらついてまともに動かない。こいつはマズい、失うとこうなるのか。
あの時、木谷には本当に悪い事をしてしまったな。
いや、でも木谷って誰だ?
コメント
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うわあ…第226話、読了しました。もう街の惨状と、主人公の「慣れ」が生む違和感がすごく効いてましたね。特に「なぜか剣で戦ってた気がする」「木谷って誰だ?」という、記憶がぼやける感覚の描写が生々しくて。そしてミーネルが下着姿で待ってるシーン…あの落差が、戦闘に呑まれそうな日常の脆さを感じさせます。最後のアイテムが割れるくだり、続きが気になりすぎます。お疲れ様です、ばたっちゅさん!