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余りにも不自然すぎる突風だった…。
誰かの手によるものなのか?
だとすれば能力者である遥香か茉奈ちゃん…‥
もしくは葵の可能性が高い。
それにブーケを美咲さんに渡したのは【早く美咲さんと結婚しろ】という僕へのメッセージかもしれない。
「紺野くん…何か気になる事でも?」
考え事をしている僕の顔を美咲さんが覗き込んで聞いてきた。
「今の風、変だと思いませんか?」
「誰かの仕業なんでしょうね」
「誰だと思います」
「う~ん…結婚式には何人か能力者が来てるし、葵ちゃんの可能性も否定できないしなぁ…。わかんないよ」
「そうですよね…」
「そうよね。それより早く披露宴のある会場に移動しましょう」
「はい」
披露宴が始まる5分前になった。
殆んどの招待客の着席が完了していた。
その中には遥香の友人でもあり、能力の大先生でもある茉奈ちゃんの姿もあった。
親族の席には亜季ちゃんが座っていた。
また、この披露宴に葵が最後のお別れに僕たちの前に現れると確信していたので、高校の時の担任であった松下を招待した。
何故か千葉もそれを嗅ぎつけて、自分から披露宴に出席したいと申し出てきた。
遥香とは全く無関係の千葉だけど、松下も知った顔がいた方が、こんな奴でもいないよりましだろうと思って仕方なく招待した。
突然、BGMが流れ出した。
曲は遥香の大好きな安室奈美恵の『CAN YOU CELEBRATE?』だった。
新郎新婦の入場だ。
ウェディングドレスを着た遥香の姿が見えると、あまりの美しさに会場が“ドッ”と湧き始めた。
最初、遥香は頬を赤らめて歩いていたが、友人を見つけると満面の笑みで手を振っていた。
そして、新郎新婦が一礼をして席に座ると司会者の進行で披露宴が開宴した。
その後は新郎新婦の紹介や主賓の挨拶が行われ、やっと乾杯の時が訪れた。
こんなにめでたい日に大好きな酒が飲めるなんて、本当に幸せだし、生きていて良かったと思えた。
せめて葵にも、この場にいてもらえたら良かった…。
それはともかく、嬉しくて酒がドンドン進んだ。
まだ食事が運ばれてもいないのに、2本目の瓶ビールをあと少しで飲み干そうとしていた。
そうこうしているうちに披露宴は、ウェディングケーキの入刀へと進んでいた。
ケーキを入刀しようとする遥香と平井さんの回りには、既に写真を撮ろうとする招待客で人だかりが出来ていた。
入刀の瞬間も多くのカメラのフラッシュがたかれていたけど、入刀後のファーストバイトでも同じくらいのフラッシュがたかれていた。
平井さんを見ると顔じゅうケーキだらけになっていた。
遥香にやられたようだ。
それから食事が開始され次々と料理が運ばれてきた。
この間新郎新婦はお色直しの為、一旦退場となった。