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そんな訳で整備し直す。
先輩に指定された90psiという目盛りまで空気を入れ、サドルの高さも足がぎりぎりつく位にして。
チェーンは取り敢えず注油のみで大丈夫とのことだ。
乗ってみると思った以上に走り出しが軽い。
ブレーキ確認後、6段あるギアを最高速にしてみる。
なかなか速い。
携帯電話のGPS読みで楽々30キロ出せる。
「これは今まで乗っていた自転車と違う感じなのです」
未亜さんも確かめながら、そんな事を言っている。
「美野里先輩からの受け売りだけれどさ。普通の自転車でも空気圧上げて、サドルをぎりぎりまで上げれば、かなり快適になる筈なんだと。ただ、この自転車は前ギアを55Tという大きいギアに交換してあって、ちょっとだけ速度も出るようになっている。変速ギア数が少ないのと、自転車本体がやや重いのを除けば、高い自転車と遜色ない筈だってさ」
「本体は7,000円以下。なのに、あのギア部分だけで1,200円余計にかけてますからね。でも美野里さんが、そこは譲らなかったんです。あとはブレーキレバーも、剛性が高い金属製に変更して」
なるほど。
普通の安物ではなく、ちょっと手を加えてある訳か。
「ただ美野里先輩自身の自転車は11段変速で、なおかつ本体アルミ製で軽かったな。元々8速だったのを11速に変更して、元の値段と改造費あわせて15万超えという代物だったけれど」
まあそれはともかく。
残りの問題は彩香さんの自転車練習だ。
今は両足がつく高さにして、取り敢えずまたがっている状態。
坂を利用して、真っ直ぐ2メートル進んで止まっては出来る。
でも、まだこぐのは怖い模様。
「どうする。走りながら後ろを支えようか」
「うーん、ちょっと待って下さい」
彩香さんは色々考えながら試している模様。
坂を引っ張り上げて、上からこがずに下りてみたり。
今度はこごうとして、バランス崩しかけてブレーキで止まったり。
はじめて自転車に乗ったにしては、いい調子なのだろう。
でも皆でおでかけまでには、まだまだ時間がかかりそうだ。
そこでふと、未亜さんがにやりと笑う。
いつも笑った感じの目が、一層細くなって、そして。