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東野が入院して3週間ほどがたった。それはできることはなにもないと思いながらも3週間他人のことを考えていたということを意味した。あの頃と比べればこれは大きな成長と言えるのではないだろうか?なんせ俺が他人を気にかけているんだから。
そして今日、俺は話をしてみようかと思う。結局俺の中では本人も記憶を戻せるのが一番いいだろうという結論に至ったのだ。
(なんだが緊張するな……)
そう、俺は今緊張している。だがこれは決して今まで女子と二人で喋ったことがないからとかそういうわけではなくただ単に……人見知り、そうだ、人見知りだ。やはり初めて話をする人は緊張するものだろう。うむ、そういうことにしておこう。
決心をした俺は少し勇気を持って話しかける。
「あ、あの……」
「はい?なんですか?」
「俺……実はあなたと同じクラスの光根 路って言います。……って、覚えてる訳ないですよね、アハハ……」
「光根……さん?聞いたことあるような……ちょっと待ってくださいね?」
「あ〜聞いたことくらいはあるかもしれませんね……なんせ飛び降り自殺しようとしてましたから。」
「飛び……降り……ッハ!!!!」
「どうしたんですか?……って、え?東野さん?大丈夫ですか?」
「ア……アァ……」
彼女は頭を抱え込み何かに必死に抵抗しているようだ。
「だ、誰か呼びましょうか?大丈夫ですか?」
「ハッ!!……あ、えーと……だい、じょうぶです……少し嫌な夢でも見ちゃいましたかね?エヘヘ……」
「あ……まぁそれならいいんですけど……」
今の反応を見る限りでは明らかに大丈夫ではなさそうだった。そして飛び降り自殺という言葉に反応したのも妙に引っかかる。
(何かあるのか?)
まだ何があったかわからないが、これで何かあったということはほぼ確かだろう。
(これはもう少し探る必要があるな)
俺はその後言葉を選びながら他愛もない話を続けるのだった。