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私達は今、あの病院の前に二人で立っていた。あの日から約1ヶ月弱が過ぎただろうか?よく覚えてないが多分それくらいだろう。私も陽夏も心を整理するのに十分な時間をとって再度ここにやってきたのだった。
「い、行こうか……」
ただ突っ立っていてもしょうがないので私が行こうとすると、
「ちょっと待って!!まだ何話していいかも決まってないし……やっぱり今度にしない?」
「もう……そんなの会ってから成り行きで話せばいいでしょ!!だいたいいちいちそんなこと気にしてたらいつまで立っても会いに行こうなんて思えなくなるよ?」
「それはそうなんだけど……」
「整理つけたんでしょ?いつもの強気な陽夏はどこに行ったのよ?」
「む……むぅ……」
「ほら、行くよ」
そう言うと私は陽夏の手を引き病院へ入った。
だが、私も正直どうするのが正解なのかわからないままでいた。話すと言っても相手からすれば知らない人からいきなり馴れ馴れしく話しかけられているようなものなのだ。私ならそれが良心からなる行動だったとしても疲れてしまうかもしれない。それが本当に「晴のためになるのか」、と言われれば「そうだ」と100%言える自信はどこにもないからこそ私も悩んだのだ。それでも私は今日試してみたいことがある。晴の記憶を、思い出を、もう一度晴の頭に戻すために試してみたいことが。でもこれは晴を苦しめてしまうことになるかもしれない。なにせこれは“いじめ”に関することを話すことになるのだから……
私はあの後少し事件を不可解に感じ、独自にそのことについて調べていた。新聞からテレビから何から何まで調べられるものは全部片っぱしから調べたし、事件の起きた学校にも無理を行って入らせてもらった。そこで、様々な情報を重ねて見えてきた一つの事実は……衝撃といえば衝撃だが、もしかしたらありきたりかもしれないようなものなんだと思う……