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私は個人で絵のモデルをやっている。今日は大きなお屋敷で開かれる美術教室でモデルの仕事だ。あんまり個人からのお仕事は受けないのだけれど(怖いから)、今回の依頼主はお金持ちで社会的地位もある人で、他にも参加者がいるということで、引き受けることにした。
美術教室の方は無事に終わり、お茶でも、というので休憩していたところだ。お給仕はその家の娘さんがしてくれた。小学生低学年くらいだろうか。でもとてもしっかりしている。名前は確か……そう、夕凪(ゆうな)ちゃん。どっかで会った気もするけれど、思い出せない。
「あっ、ごめなさい、お姉ちゃん」
冷めた飲みかけのお茶を取り下げようとして、夕凪ちゃんがうっかりお茶をこぼしてしまった。しっかりしているようでもまだ小さいし、ちょっとした失敗はしかたないだろう。気にしないでいいよと声をかけながら、タオルを取りに行こうとしたら、その前に夕凪ちゃんが自分でタオルを取ってきて拭いてくれた。
「ありがとうね、夕凪ちゃん」
と、お父さんが、
「ううん、すぐにクリーニングした方がいいだろうね」
といった。
「そうだよ、お姉ちゃん。お風呂にでも入って待ってて。その間にクリーニングしちゃうから」
「えっ? そんな悪いです……」
そこまでして貰わなくても、といったが、ぜひにと言われて、お言葉に甘えることにした。夕凪ちゃんに案内され、更衣室で服を脱ぐ。夕凪ちゃんはその服をお手伝いさんに渡した。更衣室もとても広い。あちらへどうぞと言われ、その部屋に入ったら……あれ、ここはお風呂じゃない。これは、プールじゃない?
「あの、ここって、プールじゃ……」
「そう、うちは室内プールもあるの。すごいでしょ。それにお湯だから大丈夫だよ」
そういう問題ではなくて。私、裸なんですけど。水着なんて持ってないし。一応念のため確認しておく。
「……あの、この格好のまま泳ぐの?」
「もちろん泳げるよ! 誰も見てないし、恥ずかしくないよね」
夕凪ちゃんはばっちり見ているけどね……とは思ったものの、ここまできた以上仕方がない。私は覚悟を決めて、プールに飛び込んだ。(続く)