テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
そして美咲がいなくなったと同時に、カウンターでは、私と早瀬 樹と二人。
なんとなく、この今のタイミングが気まずい。
すると。
「あの時はもう少し素直だったのに。なんで今日はそんな否定的なの?」
穏やかに優しく隣で尋ねられる。
「職場で・・・まさか一緒だとは思わなかったから」
「何か問題?」
「問題でしょ」
「なんで?」
「そもそも私、職場恋愛無理なのよね。あっ、恋愛じゃないか、例え恋愛もどきだとしても。で、あーいうのは基本困るワケ」
「あーいうのって?」
こいつ・・・。絶対わかって言ってる。
「だから・・ドキドキは欲しいとは言ったけど。職場でなら話は別。仕事は仕事でちゃんと集中したい」
「オレは中途半端なことはしない。オレはちゃんと仕事出来る自信あるから」
すごい自信。
流石噂の有望株。
まぁ私とのそんなお遊びは気にもしないってことか。
あ~特定の相手には本気にもならないんだっけ?
それとも噂通りに誰か相手がすでにいるからこそ出来るとか?
冗談じゃない。
私はそんな相手になるなんてゴメンだ。
面倒なことはもう懲り懲り。
こんなヤツに関わると絶対これから面倒なの目に見えてる。
「もうやめよ。ごめん。私がトキメキほしいとかつまらないこと言っちゃったから、あなたも巻きこんじゃったね」
もう早いうちにこんなの終わらせよう。
トキメキだけ欲しいだなんて、ドキドキだけさせて欲しいだなんて、そもそも無理な話だった。
それこそ面倒な話だ。
普通の人は普通に気になる相手に、好きな相手に、ドキドキ出来るからこそ、恋愛は楽しいモノなんだから。
それを簡単に適当に済ませようとした私がバカだったんだ。
この人とも今のうちに深入りする前にとっとと離れてしまおう。
多分今離れた方がいい。
きっとこの人も元々遊びで付き合ってくれようとしただけだろうし。
三輪ちゃんの話だと相当モテるみたいだから、逆に私みたいなのに関わらない方がいい。
「・・・嫌だって言ったら?」
するとなぜか思ってもいない言葉が返って来る。
一瞬言葉に詰まる。
「あなたも面倒なことしなくても誰かもういい人いるんじゃないの?会社でも相当モテてるって聞いたけど」
「いくらモテてもオレがその気にならなければ意味ないし。オレもトキメキってやつには飢えてんだよね。だから条件は一致してる」
「そんなモテるならいくらでも誰かいるでしょ。あなたと私とそもそも状況違うんだから」
この人はモテてる中でトキメキを探してるだけ。
私は恋愛から遠ざかっているけどトキメキが欲しいだけ。
意見は一致していてもそもそもの状況が違いすぎる。
それならこんな仕事仲間じゃなく面倒なことにならない他で見つければいい。
私じゃない誰か。
「やめるなんて認めない。変わらず続ける」
なのにやっぱり会話は一方通行。
「なん!で! 面倒なの嫌って言ってたんだからもういいでしょ」
「そういう面倒とは違うから」
「どう違うのよ」
「全然違う」
なぜか不機嫌そうに一向に頷いてくれない。
「お互いトキメキだけで必要以上には望まない。楽しいことだけ共有出来るならそれで良くない?一番後腐れなくて面倒じゃないじゃん」
「でも・・同じ職場で、しかも同じプロジェクトで仕事していかなきゃいけない。これからこんな関係続けたって面倒でしかないよ」
「なんで面倒だって思うの?」
「面倒・・・でしょ」
「なんで?」
「なんで・・・って」
「年齢だってかなり違うってあの時はわからなかったから」
「だからそこは問題ないって言ったでしょ。何をそんなにこだわってるのかがわからない」
わからないって・・・。
海の紅月くらげさん
若くて男のあなたにわかるワケないよね。
30過ぎた女が若い男と例え遊びだとしても、先がない関係を続けていく意味の無さ。
結婚に希望を抱いてるワケではないけど。
ただ。
今、これからのそんな時間を、手放しで喜んで始められるほどの自由さも若さも気力ももう、ない。
君はまだ20代。
男性は30代からでもまだまだ素敵になっていく。
30過ぎた女性とは全然状況が違う。
あなたは年齢に見合ったちゃんとした恋愛をする方がいい。
遊び相手ならもっと若い子を見つければいい。
「私が言い出したことに、あなたが乗っかることないよ」
「もうそういう問題じゃないから」
「何それ・・・」
矛盾。
どんどんどっちが言い出してることかわからなくなってきた。
なんでそんなに頑なになってるのか、私はそっちのがわかんない。
私の提案にそこまでこだわることないのに・・・。
「会社で一度もう納得しただろ?覚悟してって言ったの忘れた?」
「それは・・覚えてるけど・・。無理やりあんな状況に追い込んで納得させたくせに・・・」
あんな状況ならあーするしかないでしょ。
だけど時間経って改めて考えてみたら、私には不利なことが多すぎる。
「まさか。自然な流れでしょ」
どこが!
「食堂でだって、無視したくせに・・・」
そう。それなら食堂でなんで無視したのよ。
あからさまに無視したくせに。
「ん?」
「あなただって会社で私と関係知られたくないから無視したんでしょ?」
「・・・え?」
「いいよ。ムリしなくて。こそこそしながら続ける意味もわかんないし。ってかそもそもそんな関係他に説明出来るはずないよね。私だって意味わかんないもん」
堂々と説明出来る関係でもないし、面倒で無視したくなるのもわかるから。
だから、そんなので続けてる理由もない。