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侑から少し離れた所で控えている瑠衣は、響野先生の人気って凄いんだなって思う。


あまりにも侑に選定してもらいたい客が多いのか、この日の中倉楽器本店の選定会は五名限定の抽選となってしまった。


侑の選定会に当たったのは、中学生の女子、男子高校生、女子高校生、大学生くらいの女性、社会人の男性の五人。


侑はそれぞれの客に真摯に向き合い、希望の楽器メーカーや欲しいモデルを聞き、試奏して楽器を選んでいる。


選定した楽器には、選定書が付属し、侑が直筆でサインする。


当選した五人のトランペット愛好家は、よほど嬉しかったのか、はち切れんばかりの笑みを浮かべ、侑と握手し、礼を述べていた。


(やっぱり響野先生って凄いんだなぁ。お客様の希望を聞いたり、楽器を選んでいる時の表情が真剣で素敵だよ……)


お手伝いに来ているとはいえ、あらぬ事を考えてしまう自分に恥ずかしく思ってしまう。


(ダメダメ。ちゃんとお手伝いしなきゃ……!)


十三時からミニコンサートの開演だったが、選定会が予想以上に時間が掛かった事もあり、開演時間を一時間遅らせる事が決定。


瑠衣は一足先に小ホールへと向かい、準備を進める事にした。


店側で用意してくれた横長のデスクに、セットリストを出していると、開場時刻まで二十分もあるのに、既に多くの人が列を作り、今か今かと待ち構えている。


少し早いが、ホール前で待っている来場者にセットリストを渡す事に決めた。




セットリストには、侑の顔写真が掲載されている。


恐らく侑が留学中に発売したCDジャケットに使われていた、タキシードを着て楽器を構えている写真だろう。


ミニコンサートを聴きに来た女性客数人が、その写真を見ながら『カッコいい! さっき選定会でも見たけど、今の響野さんも髪が伸びてワイルドで素敵!』と会話している様子が、瑠衣の耳にも届く。


(ワイルドかぁ。そう、確かに今の先生はワイルドだよね。葉山さんは先生の事、ロックミュージシャンみたいだって言ってたし……)


そんな事を考えているうちに開場時間となり、瑠衣はドアを開け、来場者にホールの中へ入るように促していく。


いつしか中倉楽器本店の小ホールは、立ち見が出るほど沢山の客で埋め尽くされていた。

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