テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
木村家には暗黙のルールがある。
それは――
「最終的に優吾がなんとかする」
である。
☆
午後5時。
リビング。
「ぎゃーーー!!! 北斗やめろ!!!」
「大我が先やった!!」
双子、乱闘。
慎太郎、泣く。
ジェシー、つられて泣く。
康二、音でパニック寸前。
樹、ソファで爆笑。
風磨「樹も止めろ!!」
地獄。
その真ん中で。
優吾だけが異様に冷静だった。
「はいストップ〜」
声を張らない。
怒鳴らない。
なのに全員ちょっと止まる。
「北斗、叩かない」
「……うぃ」
「大我、煽らない」
「はぁい」
「慎太郎、こっちおいで」
「うぇぇ…」
「ジェシー深呼吸」
「ひっく…」
「康二、イヤーマフする?」
「……する」
流れるような処理能力。
樹が感心する。
「優吾ってマジですげぇよな」
「保育園の主任みたい」
風磨まで言う。
☆
だが。
そんな優吾にも弱点がある。
それは――
弟たちが優吾を舐めてること。
「優吾にぃ怒んないもーん!」
大我がニヤニヤする。
北斗も便乗。
「やさしいし!」
「怒るよ?」
優吾は笑顔。
でも目が笑ってない。
樹が小声で言った。
「終わった」
☆
次の瞬間。
優吾は静かに立ち上がった。
「じゃあ今日ゲーム禁止ね」
双子「えっ」
「YouTubeもなし」
「えぇ!?」
「あとお菓子もなし」
「いやぁぁぁぁ!!!」
制裁が現実的すぎる。
風磨、大爆笑。
「怖ぇぇぇ!!」
樹まで震える。
「拓也タイプだ……」
☆
その頃。
涼介はソファで康二の隣にいた。
「優吾って怒ると怖いよな」
「……ゆうごにぃ、しずかにおこる」
「それが一番怖いんだよ」
☆
数分後。
双子、正座。
「ごめんなさい」
「はいよくできました」
優吾、秒で解決。
☆
だが。
そんな優吾にも “限界” は来る。
夜9時。
全員風呂。
全員歯磨き。
全員寝かしつけ。
ジェシー「ねむくない!!」
慎太郎「おちゃ!!」
北斗「トイレ!!」
大我「オレも!!」
ゆのでい🍄🩵

3,365
康二「……ねれない」
地獄再来。
優吾のこめかみに青筋。
「…………」
涼介が察する。
「優吾?」
「……………」
風磨「やばい?」
樹「逃げる?」
☆
その瞬間。
優吾、突然ソファに倒れ込んだ。
「もう無理」
全員「「「優吾にぃ!?」」」
珍しい。
超レア。
木村家のメンタル担当が死んだ。
☆
すると。
静かだった康二が、そっと優吾に近づく。
「……ゆうご にぃ」
「んー?」
小さな手で、優吾の頭をなでなでする。
「よしよし」
一同、静止。
さらに慎太郎も来る。
「ゆうごにぃ だいじょぶ?」
ジェシーまでぎゅっと抱きついた。
「がんばった?」
優吾、固まる。
その横で涼介がニヤける。
「ほら、人気者」
風磨も笑う。
「ちゃんと見てんだよな、弟たち」
優吾は少し照れくさそうに笑った。
「……反則だろ」
すると双子まで抱きついてきた。
「優吾にぃすきー!」
「ゲーム禁止やだけど!」
「台無しだわ」
コメント
1件
あおいです🤍 第8話、めっちゃよかったです!「最終的に優吾がなんとかする」っていう暗黙のルール、家族の空気感がすごく伝わってきますね。優吾の「はいストップ〜」からの流れるような対応、プロすぎて笑いました。でもラストの康二の「よしよし」とジェシーの抱きつきで、優吾が「反則だろ」って照れるところ…じんわりきました。双子に「ゲーム禁止だけど!」って言われるところも含めて、この家族のバランスが絶妙です🌷