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「明智、おい、明智」

「わっ……って、何だよ。さっきの女性達は?」

「ハルハルが黄昏れている間にいっちゃったよ。というか、一緒に回れませーんって断っちゃった」

「何で」


俺と、空は顔を見合わせる。

先ほどのを見ていた為に、俺達が女性達を帰らせたことに驚いているのだろう。何か、また失礼なことを考えてそうだなあと思いつつも、俺は空にも明智にも感謝しねえといけないと思った。


「何でって、だって三人で遊びに来てるのに」

「いや、そうだけど」

「まあまあ、明智、堅いことは気にすんなって。俺たち三人でまわろうぜ」


俺は、明智のかたをがしっと組んだ。逃がさねえという風に体重をかけてやれば、明智は面倒くさそうなかおをしながらも、何処か嬉しげに微笑んでいた。

そういう顔をしていて欲しい。矢っ張りダチには笑っていて欲しいと、俺は単純にそう思う。

それから、暫く歩き、黒いアスファルト一面にイチョウが広がっている道に出た。


「すっげえな。この間の雨でけっこう落ちたのか?」

「何か、掃除大変そう」


俺も空もそんな感想しか出てこなかった。

単純に、綺麗というよりかは、凄え真っ黄色。レモンをひねり潰したらこうなるのかとかそういう、色に対しての感想しかなかった。空に対しては掃除が大変そうなど、警察学校のことでも思っているのだろうかと笑えてきてしまう。人の感じ方などそれぞれだし、明智はそんな俺達を見て、子供だなあ何て目を向けてきたわけだが。


「来年もまた来たいな」

「いや、今来たばかりだっつーのに来年の話かよ」

「いいだろ別に。そう、外出許可ぽんぽんと取れる出もねえし、それこそ雨で散っちまうかも知れねえじゃねえか」

「確かにな」


来年。という単語が明智から出たのが衝撃的で、俺は手を叩いた。空も同じように叩き、嬉しそうに笑っていた。

明智が、少しでも俺達と一緒にいるのが楽しいと思っていてくれるだけで、それだけでいいような気がした。彼奴が、恋人を忘れられるなら。忘れなくてもいいが、俺達といるときは俺達のことを考えて楽しんでくれればいいと思ったのだ。


(三人……さんこいちとか言うんだっけか? 明智とか、そういうことばしらなそうだけど。後、空には古いとか言われそうだな)


「じゃあ、来年も来ようよ。来年じゃなくても良いけど、兎に角ここに。三人で」

「そうだな、空が言うとおりだな。来年は忙しいだろうし、そもそも俺たちは何処に配属されるかもわかんねえからな。都合がいいときに」

「じゃあ、指切り~」


空は声を上げ、俺と明智は小指を出し、それぞれ絡めた。

こういうの、いつもの明智だったらガキ見てえとかいいそうだが、今日は違ったのだ。それが、少しずつ明智が前に、俺達に馴染んでいる証拠だと言うこと。

青春はいっぱいしてきたつもりだったが、またこうして新たに出会えた同期と新しい約束をするというのは、楽しくて仕方なかった。

未来の約束は楽しい。スケジュール管理はド下手くそだが、何か予定が入っていると自然と楽しくなる。辛いこともどうにか乗り越えようと思える。

俺は単純だから。


「指切り~げんまん、嘘ついたら針千本の~ます」


――指切った。

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