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第2話『お礼の約束』
風邪を引いてから三日後。
放課後の教室には、心地よい風が吹き抜けていた。
窓際の席に座るじおるは、ようやく体調が戻ったらしく、
いつもの糸目に、少しだけ笑みを宿していた。
「あすたくん」
「ん?」
「この前は、本当にありがとうございました」
「気にすんなって。おまえが熱で倒れてんの見たら、ほっとけないだろ」
「……でも、わたし、とても迷惑をかけてしまいました」
「迷惑じゃねぇよ。むしろ、世話できて嬉しかったくらいだし」
あすたが少し照れたように言うと、
じおるは静かに笑い、机の上に何かを置いた。
それは、手作りの小さな箱だった。
木の素材でできていて、角が丁寧に磨かれている。
ふたには、細い筆記体で“ASTA”と刻まれていた。
「これ……おまえが作ったの?」
「はい。お礼です。中、見てみてください」
そっと開けると、中にはコンパクトなコンパスが入っていた。
針の中心には、小さな青い石が埋め込まれている。
「……地理屋らしいな」
「ふふ。僕からの、らしさのつもりです。
方向を見失ったとき、少しでも思い出してもらえたら」
「思い出す?」
「はい。わたしを、です」
その一言に、あすたの心臓が跳ねた。
彼は手の中のコンパスを見つめながら、小さく息をつく。
「……なぁ、じおる」
「はい」
「おまえって、たまに反則級だよな」
「反則……?」
「そうやって、さらっと心臓撃ってくるとこ」
じおるは、ふっと笑う。
少しだけ頬を赤らめながら、糸目のまま柔らかく見上げた。
「……じゃあ、もうひとつ反則をしてもいいですか?」
「え?」
次の瞬間、じおるは静かに立ち上がり、あすたの頬にそっとキスをした。
触れたかどうか分からないほどの軽いキス。
けれどその瞬間、あすたの耳まで一気に真っ赤になる。
「じ、じおる……!?」
「これは、“お礼の続き”です」
「ずるい……おまえ、ほんとずるい」
「そうですか?」
「うん。でも……嬉しい」
じおるは照れたように俯き、
「あすたくんがそう言うなら、よかったです」と、
静かに笑った。
教室の窓から吹く風が、ふたりの髪を優しく揺らす。
秘密の恋の光は、
今日も静かに、確かにそこに灯っていた。
てことで、じおじおのデレ回でしたー!
第3話もお楽しみに!
おつひにゃでしたー!