この作品はいかがでしたか?
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皐月賞当日の控え室。
前日に渡された勝負服を眺めてる。
赤と黒のパーカー。ストリートっぽい服だな。
後ろではルドルフさんが誰かと電話していた。
「………そうですか。わかりました」
なんだが悲しげな顔をして、俯くルドルフさん。
レストランとかの予約が出来なかったのかな。
ルドルフさんはスマホを机に置くと、僕の方を向いた。
「ユリノ、少し来てくれ」
ルドルフさんは新聞を片手に僕を呼ぶ。
「今日の皐月賞なんだが、なかなか強敵揃いでな」
そう言ってルドルフさんは新聞を広げる。
その新聞には、一面をあるウマ娘が占領していた。
「特に、このコールドブラデッドというウマ娘、なかなか手強くてな。前走のスプリングSでは大外からの追い込みで二着に6バ身差の圧勝だ」
「………」
スプリングSは確か皐月賞の前哨戦だっけ。
僕は抽選で当たったから出てないや。
「レース映像を見るか?」
「………はい」
僕がそう返事をすると、ルドルフさんはスプリングSのレース映像を流す。
『さぁ、第4コーナカーブ!依然逃げるオクシデントフォー!その差は4バ身!!その外!大外からコールドブラデッドも上がってきた!!』
大きく横に広がったバ群の大外から金髪のウマ娘が上がって来た。
さっきまで最後方に居たのに、ロスを覚悟して大外を回し、一気に五番手ぐらいに上がって来た。
「………!凄い末脚……!!」
『おっと、コールドブラデッド、伸びないか!!?先頭との差は約3バ身!!』
あれ、もう伸びないの?じゃあ、なんでルドルフさんは“強敵”って────
「!?」
二度目のスパート?しかも、さっきよりもっと早く上がって来る。
先頭との差はもうほぼ無い。いや、もう抜いた。
あの化け物みたいな末脚で、一気に抜き去った。
「見てろ、さらに追い込む」
「……追い込むったって………」
金髪のウマ娘……コールドブラデッド?の前には誰もいないのに何を追い込むの?
そう思っているときも、コールドブラデッドは先頭を突き進んでいる。
残り100。
────コールドブラデッドは加速し続けていた。
『コールドブラデッド!コールドブラデッドだ!!先頭はコールドブラデッド!!!後続はもう着いてこないぞ!!!』
コールドブラデッドは後続をどんどん離して行く。
4バ身、5バ身、6バ身……後続はもう来ない、来れない。来れるはずもない。
化け物?怪物?そんな言葉が頭に浮かぶ。
なんたって、レベルが違いすぎる。
『ゴール!!一着はコールドブラデッド!逃げたオクシデントフォーが二着に粘ったか!!』
中山レース場が歓声に包まれる。コールドブラデッドの圧勝劇に。
ルドルフさんも言ってた通り、6バ身差の圧勝。
「………凄い……」
ありえない末脚に、僕は唖然とした。
そんな僕に、ルドルフさんは話しかける。
「おそらく今日も、追い込みだろうな」
「………あの末脚に、追いつける自信はないです」
僕は弱々しく言った。
ルドルフさんは鼻で笑って言う。
「そんな弱気でどうする。ユリノテイオー、勝つと言っただろう」
その言葉に、僕の信念は奮い立たされた。
そうだよね。勝たなきゃダメだもんね。
勝ったら、兄さんもきっと喜んでくれるよね。
「それと、もう一つ」
「………?」
『さぁ本バ場入場です!』
実況の明るい声が聞こえる。
ルドルフさんはマルゼンさんのところに行った。
あと一歩前に進めばレース場だ。
……でも怖い。
観客たちの歓声、何より、今までの緊張がどっと来た感じ。
あと一歩進むだけなのに、足が震えて動かない。
こんな大舞台は初めてで、本当に怖くてもう──
「───アンタ、ここでビビってるようじゃレースでも勝てないでしょうね」
「………!」
後ろから声がした。声のした方を見る。
………コールドブラデッドだ。さっき見たスプリングSを勝ったコールドブラデッドが後ろから僕を見つめている。
「……コールドブラデッド……」
「知ってんだね、まぁ──」
コールドブラテットは僕の横に並んで、まっすぐとレース場を見つめていた。
「今日勝つのはアタシだから。覚悟しておいて」
コールドブラテットは僕を睨みつけた。
こんばんは!
えびふらいです!( ´ ▽ ` )ノ
いやぁ、すっかり更新が遅くなっちゃったわ。
本当スイマセン。
皐月賞書きたいのよ、でも次書けるから待ってて!
あとチャットノベル版も出したんだよ!
よかったら見てみてね!
それじゃ!!
ばいなら〜!
コメント
2件
コールドブラデッド ・身長は172cm ・威風凛然 ・ツンデレ ・たまに口が悪くなる