🌪️ シーン1:再び、風が鳴る
昼下がり。
中央塔の西区画で、ケンチクが新設計の通路をホログラムで描いていた。
「こっからの導線、空中歩道で繋いだらどうや?夕陽が見えるように窓角度いじって……よし、ええ感じや」
碧素杭が地面に打ち込まれ、碧のラインが空へと伸びていく。
その一方で、アセイが塔の中枢でデータを睨んでいた。
「すずか、今の振動……ログ出して。塔が自分で“揺れ”を吸収してる。違和感がある」
「観測中。外部干渉の可能性:高。……旋風フラクタル、接近中です」
「また来た……!」
その瞬間、塔の外壁がひときわ大きく震えた。
青い設計線がよじれ、空中歩道が軋む音を立てる。
ケンチクが杭を握りしめる。
「こいつ……前よりデカい!」
🚨 シーン2:処理チーム、出動!
「ケンチクさん!暴走コードきたっぺ!」
処理班のゴウが地響きを立てて駆けてきた。
褐色の肌に筋骨隆々の身体、右腕は重機型フラクタル処理ツール。マフラーをなびかせながら、背負った武装ユニットが起動する。
「エネルギー中心部、ギリ踏ん張ってるけど、ヤバい波動だっぺ……!」
ギョウが細身の身体で走りながら、眼鏡の奥の目を光らせる。白衣の下から複数のスキャナが展開され、空間のねじれを可視化していく。
「……三点干渉。中心を突く」
キョウは無駄なく動きながら、キャップとマスクの奥で冷静に言い放った。手にはフラクタル杭型制御ツール。
すずかAIが全体に指示を飛ばす。
「旋風フラクタル反応、拡張中。直径60m。内部構造の呼吸パターンと干渉しています。処理チーム、対応を」
「よし、処理モード全開っぺよ!!」
💥 シーン3:反撃の三段構え
「ゴウ、杭で反応止めろ!オレが根っこをスキャンする!」
「任せとけぇぇっ!!」
ゴウが機械の右腕を起動させ、杭を地面に突き刺す。
碧素が爆ぜるように弾け、空間の乱れが一点に集まった。
「見つけたっぺ……根の位置、座標送る!」
ギョウがすぐさまフラクタルコードを打ち込み、暴走の中枢を表示。
その中心へ向かって、キョウが走り出す。
「……処理する」
彼が地面に滑るように杭を差し込み、フラクタル構造を上下から挟み込むと――
《FLOW SEAL = ACTIVE》
ギュオォォォォン……ッ!
渦が音を立てて消えた。
空間が静まり、塔のゆらぎも止まる。
🤖 シーン4:街を守る者たち
「……ふぅ、成功だ」
アセイが呼吸を整えながら端末を閉じる。
「すずか、解析は?」
「旋風フラクタル、完全封印。今回の個体は過去最大規模でした。処理班の働きにより、都市中枢は無傷です」
「まじで助かったで……ゴウ、ギョウ、キョウ!」
「へへっ、オレたちの腕、まだまだ錆びちゃねぇっぺ!」
「データ回収済み。再発防止、次の設計に組み込むっぺ」
「……都市は生きている。なら、守り続ける」
ケンチクがふと塔を見上げる。
空に向かって伸びる塔のシルエット。
それはもう、人が作っただけのものではなかった。
建築が呼吸し、守られ、進化しようとしていた。
――第7話、完。暴風は去ったが、都市は進み続ける。
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