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#普通
野々さくら
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ありあ
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坪野は静かに目を閉じ、長い沈黙の後に口を開いた。
「しかし、2015年、我々は新たな問題に直面しました」
その年号を聞いた瞬間、焔垂が表情を曇らせる。
「もしかして野球部の高野連除籍?」
坪野は静かに頷いた。
「その通りです・・・それがきっかけとなり
長年集め続けてきた信者は急激に減少していきました」
教団の求心力は失われ始めていた。
坪野はゆっくりと続ける。
「そこで私はある人物とコンタクトを取りました」
信愛が息を呑む。
「もしかして・・霊貴冥孤!?」
「ええ。その通りです・・・」
坪野は淡々と語る。
「当時、都内で臨床心理士として働いていた
汀ひなた・・私は彼女に目を付けました
教団の幹部として迎え入れ
『霊貴冥孤』という名を与えたのです」
「『高貴な者が冥府の王の力を使い
孤独な人に霊能力で希望を与える』
という意味を込めた名前をね・・・」
龍河が眉をひそめる。
「つまり最初から──」
坪野は構わず続けた。
「財源確保と信者獲得のため霊能力を
利用した詐欺行為を指示しました。そして同時に
ある人物を誘き出すという役割も与えたのです」
龍河が問い返す。
「ある人物?」
銚子が静かに口を開いた。
「私ですね?」
坪野は頷く。
「ええ。その通りです」
信愛は思わず母の方を見た。
「お母さんを?」
「我々が修理固成を成し遂げるには
白縫銚子様の力が必要だと判断したのです」
坪野は僅かに目を伏せる。
「霊貴冥孤は期待以上に働いてくれました
おかげで天縁教団は再び潤いを取り戻したのです」
しかし、その声はそこで少しだけ低くなる。
「ですが今年6月に再びアクシデントが起きました」
朝陽が静かに呟く。
「霊貴冥孤の逮捕ですか?」
「ええ」
坪野はあっさりと認めた。
「ですが、あの逮捕は結果として
我々にとって福音となりました」
「福音?」
龍河が首を傾げる。
坪野は懐から一枚の新聞を取り出し、机の上へ置いた。
「これです」
そこに載っていたのは、古海新聞社が発行した記事だった。
怪異探求倶楽部が霊貴冥孤の犯罪を暴き、表彰されたことを報じる記事。
信愛は新聞を見つめながら呟く。
「こ、これが・・・」
坪野は写真の一点を指差した。
「この写真に写る白縫信愛という高校生
あなたを見た瞬間、私は確信しました
この子は間違いなく御船愛子の娘だと
御船愛子の血は絶えていなかったのだと」
その言葉には確信しかなかった。
焔垂が腕を組む。
「やっぱり、この新聞がきっかけだったのか」
坪野は静かに頷く。
「それ以来、私はあなた方、怪異探求倶楽部の
身辺を調査し続けました。そしてつい先日──」
信愛は複雑な表情で呟く。
「私の誘拐・・・」
「ええ。その通りです」
坪野は穏やかな笑みを浮かべた。
「ですが、それ以上を説明する必要はもうないでしょう」
龍河は大きく息を吐いた。
「なるほど・・・」
しばらくの沈黙の後、龍河は坪野を真っ直ぐ見据える。
「つまり、お前たち天縁教団は白縫銚子さんを
イザナギとイザナミの荒魂を顕現させるための器
ナワバリ様にする為ここまで連れて来た
そういうことなんだな?」
坪野は迷いなく頷いた。
「その通りです」
そして、静かに両手を広げる。
「そして、その時はやって来る。今日
この日をもって、この日本という国は
終焉を迎え、新しく生まれ変わるのです」
その言葉に、信愛たちは息を呑んだ。
坪野は静かに笑う。
「つまり『転焉』ですよ」
信愛はその聞き慣れない言葉を繰り返す。
「て、転焉・・・」
すると、さくらが何かに気付いたように顔を上げた。
「ナワバリ様に二つの意味があったみたいに
教団の『天縁』にも、もう一つ意味があったってこと?」
坪野は満足そうに微笑む。
「察しがよろしいですね・・・一つは、天からの
導きが人と人との縁を育むという意味の『天縁』」
一拍置き、坪野はゆっくりと言葉を重ねる。
「そして、もう一つ・・・この国に
終焉をもたらし新しく生まれ変わらせる
つまり転生を意味する『転焉』」
朝陽はその言葉を噛みしめるように呟いた。
「天縁と・・・転焉」
すべての言葉が一本の線となって繋がった瞬間だった。
コメント
1件
×××さん、第295話読み終えたわ! 遂に坪野の全貌が明らかになったね…「天縁」が「転焉」だったってオチ、痺れたわ。最初から野球部の除籍がきっかけで、霊貴冥孤を利用して銚子さんを誘き出すための布石だったって、伏線の回収がエグい。信愛が新聞の写真で目をつけられたのも、すべてが繋がった瞬間のカタルシスが半端なかった。 「ナワバリ様」に二つの意味があったみたいに、教団の名前にも二重の意味を持たせる構成、よく考えられてるなって感心した。坪野の静かな狂気が逆に怖いわ…この後の展開、ますます目が離せない🔥