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「うーん…」
私はあれから物語の記念すべき1話を書き終え投稿した。私は投稿した物語を1人見ていた。
「やっぱり簡単には行かないか…」
全て読み終えたけど、やはりハートは付いていない。寧ろこんな短時間で付いていたら私は目が飛び出るほど驚くだろう。私は今まで小説なんか読むだけだと思って生きてきていた。自分が小説を書く、なんか考えもしていなかった。そんな完全初心者の私なんかよりも、凄い作品を描く人は沢山いる。この1話を書くために色んな人の作品を見たけど、中には10万ハートも付いている作品もあった。私が読んだ小説は99話もあって、読み切るのに少し時間が掛かってしまった。それでも、最後まで読んでよかったと思えた。そう思わせる力が、その人にはあったんだ。
「私も…あの人みたいになりたい」
いつしかそう思って、私の中での憧れとなった。私は別に有名になってちやほやされたいなんか思っていない。ただ、自分で物語を作るのは楽しかったし嬉しかった。今までどれだけ手を伸ばしても届かないと思っていた場所に、私は今、立って歩いているんだから。それに、楽しかったのは物語を書くことだけじゃない。
「このキャラは…こんな性格にしたら面白そう!」
「この子はこんな感じで…」
物語を考えるのと同じくらい、キャラクターを作るのが楽しかった。自分の中で名前や性格、好きなものや嫌いなもの。そんな細かな設定が作れるのが凄く楽しかった。キャラ同士の関係性は?相性は?共通点は?そんなことを考えながら何かを作ることは余りしてこなかったから少し大変でもあったけど。それ以上に、『私もあの憧れの人と同じことをしているんだ』そう思うと、何故か無性に嬉しかった。それに、自分で考えたキャラクターの人気が出ることも嬉しい。私自身が有名となることよりも、ずっと。皆んながこの子自身を愛してくれている。そう思えた。初めはなんとも思っていたキャラクター達も、日が増すごとに愛着が湧いて、愛したくなって、大切な存在となった子だっている。気がつけば、私は数十話も物語を書いていて、ハートの数も日に日に増えていって、フォローしてくれる人も増えていった。ハートやフォローしてくれる人が増えるたび、『あの人にまた近づけた』、そう思った。いつだって頭の片隅には憧れのあの人がいた。いつかあの人の隣で歩ける日が来るかも知れない…そんな希望を抱いて、私は物語を書き続けた。それに、私とその人とで少し似ているところがあった。それは、キャラクター達の過去。それぞれ皆んなが辛い過去を背負って生きていた。それを乗り越えるために必死に生きていた。辛い過去を乗り越えて、最後は皆んな幸せになってハッピーエンド。これが、私の″理想の物語″…いや、もしかしたら違ったのかもしれない。私は自分とキャラクターを重ね合わせて、″自分が幸せなフリをしていた″だったのかもしれない。自分に重ねたキャラクター達が幸せになることで、『私も幸せなんだ』『私は1人なんかじゃない』そう思い続けていたんだ。そうやって、必死に自分を守ってきた。結局、憧れの人と私の決定的な違いは、物語の質なんかじゃなくて、キャラクター達をどう見て、自分をどう見るかだったのかもしれない。だから私はきっと、″あの人には一生掛けてもなれることはない″。