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偶然を装った計画ですか!? 怖すぎ……😱 颯介さんは颯介さんで、常識はずれな質問にこうも優しく返事するとは、 惚れる気もわかっちゃいますね~
ちょっとー!あまりにも常識外れ😱 でも逆に凛ちゃんの良さが際立つかも?
これって偶然じゃないよね?奈美怖っっ(||゚Д゚)ヒィィィ! お色気振りまいたりずかずか質問したり空気を読んでよね😨 あまりに失礼過ぎるとこれっきりになっちゃうよꉂ🤣𐤔𐤔 きっと颯介さんの中では奈美はナイね!!😎
そして土曜日が来た。
凛は、颯介が所有する物件を見に行くため、待ち合わせ場所の駅前のコンビニへ向かっていた。
仕事とはいえ、颯介と二人きりになると思うだけで緊張する。
それでも凛は、紅子からのアドバイス通り、ビジネスライクに接すると決めていた。
(まずは仕事をきちんとこなして、良い印象を与えないと)
そう心の中で呟きながら、足早に待ち合わせ場所へ向かう。
コンビニの前で待っていると、一台の高級外車が目の前に停まった。
誰もが知るドイツ車で、真っ白な車体がまぶしく輝いている。
上品さと力強さを兼ね備えたその車に、凛は思わず見惚れてしまった。
「お待たせ」
窓を開けて、颯介が凛に声をかけた。
「こんにちは」
凛が挨拶を返すと、颯介は運転席から降りてきた。
今日は前に会ったときとは違い、ジーンズに黒いセーターというラフな服装だ。
心臓の鼓動が速くなる凛をよそに、颯介は助手席のドアを開けてくれる。その慣れた仕草は驚くほど紳士的だった。
「さあ乗って」
「ありがとうございます」
まるで自分がお姫様になったような気分で、凛は車に乗り込もうとした。
そのとき、二人の背後から女性の声が響いた。
「二階堂さん!」
驚いた凛は、思わず後ろを振り返った。
そこには、ツイードのミニスカートに、胸元の開いた白いセーターを着た沢渡奈美が立っていた。
その愛らしくてグラマラスな装いは、彼女によく似合っていた。
奈美の突然の登場に、凛は目を見開いた。
「沢渡さん、どうしたの?」
凛が声をかけると、奈美はにっこり笑って言った。
「偶然ですね。今、友人の家に行ってきた帰りなんです。二階堂さんこそ……こちらは?」
奈美が凛の隣に立つ颯介に気づいたので、凛は彼を紹介した。
「こちらは真壁さん。先日、うちのマンションをご購入いただいた方よ」
「初めまして、真壁です」
颯介が低く落ち着いた声で自己紹介すると、奈美も丁寧に挨拶を返した。
「初めまして。凛さんと同じ部署の沢渡と申します。たしか、凛さんと真壁さんは一緒にお仕事を始めたんですよね?」
奈美は、会社にいるときと同じグレーのパンツスーツ姿の凛を、どこか冷ややかな目で見つめながら言った。
その視線に凛はカチンときたが、平静を装って答える。
「そうなんです。これから真壁さんとマンションを見に行くところなの」
「えっ、そうなんですか? でしたら真壁さん! 私も見学させていただけませんか?」
奈美は潤んだ瞳で颯介を見つめ、懇願するように言った。
それを聞いた凛は、慌てて口を挟んだ。
「沢渡さん、真壁さんはお忙しいから、あまり無理は……」
「ダメですか? 邪魔にならないようおとなしくしていますから」
すると、颯介がにこやかに言った。
「いいですよ。物件を見に行くだけですから」
「わあ、ありがとうございます。よろしくお願いします」
無邪気に喜ぶ奈美を見ながら、凛は胸の奥に不安を覚えた。
(どういうつもり?)
普段はそれほど仕事熱心に見えない奈美が、今日はやけに積極的だ。
その様子を見て、凛は以前同期の理恵から聞いた『奈美の噂』を思い出した。
『凛と同じ部署の沢渡奈美さん、男癖が悪いらしいよ。彼女がいる男性にもちょっかい出して、以前社内でトラブルになったんだって。怖いよね~』
(まさか……イケメン不動産王に目をつけた?)
そう思った凛は、警戒心を強めた。
そのとき、颯介が二人に声をかけた。
「じゃあ車に乗ってください」
颯介はまず凛を助手席に案内し、続いて後部座席に奈美を座らせた。
そのあと運転席に戻り、車を発進させる。
車内には、ほのかなウッディの香りが漂っていた。おそらく颯介の香りだろう。それとは別に、新車特有の革シートの匂いも感じられる。
内装は上品なオフホワイトで統一され、洗練された雰囲気だった。
車が走り出すと、後ろから奈美が声をかけた。
「どちらの物件を見に行くのですか?」
「南青山です」
「わあ、南青山? 素敵!」
奈美がうっとりしている間に、凛が颯介に尋ねた。
「パークヒルズですか?」
「いや……もう少し表参道寄り」
「じゃあ、タワー?」
「正解」
凛はすぐに携帯でその物件の概要を調べ始めた。
一方、奈美はうっとりした表情のまま、颯介にこんな質問をした。
「真壁さんは、タワマンをいくつくらいお持ちなんですか?」
立ち入ったことをいきなり聞く奈美に、凛はギョッとした。
奈美が普段担当しているのは、富裕層向けの高級マンションではなく、郊外のファミリー向け分譲マンションだ。
だから上客との距離感がつかめないのも無理はない。
とはいえ、相手の資産について根掘り葉掘り聞くのはマナー違反だ。
それでも颯介は特に気にする様子もなく答えた。
「部屋数で言ったら、全部で50くらいかな」
「50? すごーい! たくさんお持ちなんですね」
「まあ、すぐに売りに出すから、多少増減はするけどね」
「それでもすごいです」
奈美は後部座席から、颯介に熱い視線を送り続ける。
一方、凛はこれから向かうマンションの概要を調べながら、颯介に尋ねた。
「緑山学院のすぐそばなので、ターゲットはお子さんのいるご家族ですか?」
「そう。子供の教育のために、あの辺りに引っ越したい富裕層は多いからね」
「間取りは3LDKくらい?」
「いや、4LDKで最上階だ」
そのとき、奈美が興奮気味に声を上げた。
「最上階ってことは、ペントハウスですよね? 素敵!」
「最上階でも一軒で独占ってわけじゃなくて、四軒あるんですよ。ただ、最上階専用のエレベーターはありますけどね」
「そうなんですね」
奈美は、想像もつかないほどの豪華なマンションを思い浮かべ、さらにうっとりとした表情になった。
やがて三人を乗せた車は、南青山のタワーマンションの前に到着した。