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-恋レア- カードの告白は現実へ

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34 - 第30話:それでも恋は続いていく

2025年12月01日

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第30話:それでも恋は続いていく
春の終わり。

校庭の桜が、ようやく満開を迎えていた。


朝の教室には穏やかな空気が流れている。

生徒たちはスマホを机に置いたまま、会話をしていた。

ログもスコアも、もう表示されていない。


レンアイCARD株式会社は、先日のフォーラムをもって、恋愛スコア制度の終了と、“感情ログ”の廃止を発表した。

すべての恋を“記録対象”とせず、希望者のみに記録を残す「感情選択式」への移行が始まった。


それは、小さな革命だった。


天野ミオは、制服の襟を丁寧に整えていた。

前髪は短くなり、眉が見えるようになっていた。

髪は耳にかけられ、イヤーカフは外されている。

彼女の瞳には、少しの不安と、少しの期待が混ざっていた。


ポケットには、もうカードは入っていない。


今日、彼女は“恋レア卒業者”として、最後の使用記録を封印する申請を出すことにしていた。


放課後、図書室。

あの日と同じ窓際の席に、大山トキヤが座っていた。

今日はグレーのシャツに、カーディガンなし。

制服のまま、乱れもなく座っている。


彼の隣にミオが静かに腰を下ろす。


ふたりは何も言わない。


机の上には、何の演出も、デバイスも置かれていない。

それでも、ふたりの間にある空気は、演出以上に鮮明だった。


トキヤは小さな封筒を差し出した。

中には、ミオが文化祭のときに落とした紙片と、それを丁寧に貼り直したノートの切れ端が入っていた。


その裏に、手書きで一行だけ。


「今のままで、ちゃんと好きだよ」


ミオは笑った。

それは、今までに一度もカードが再現できなかった表情だった。


夕暮れの校舎をあとにして、ふたりは並んで歩いた。


恋レアが社会を変え、カードが恋を支配した時代。

けれど、どれだけ演出が進化しても、“本当の恋”はその外側にある。


ミオとトキヤの歩幅は、ゆっくりと、でも確かにそろっていた。


そして、その歩みは――

明日も、演出のないまま、続いていく。




『-恋レア- カードの告白は現実へ』 完

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