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毎年三日間に渡って開催されるカリキュール王国の建国祭は、剣技大会から始まる。
その剣技大会を主催するのは王家だが、数年前にリアム第一王子が王太子に立ってからは、王太子の名のもとに開催されるようになった。
大会は、騎士たちの剣術披露の場となっていて、三つある騎士団の騎士たちが、普段の鍛錬で磨き上げた剣の腕を総当たり戦で戦う。優勝者には王家より褒賞金が贈られるが、今よりも上を目指す者にとっては、王家直属の部隊である近衛隊への入隊の足掛かりになるかもしれない、重要な場の一つでもあった。
さて、大会当日となった今日、円形競技場は朝からすべての座席が人で埋め尽くされていた。
数々の熱戦が繰り広げられ、優勝者が決まる。優勝者は、王太子より祝福の言葉と褒賞金を賜り、感無量の様子だ。
観衆たちの大歓声と拍手に包まれて、優勝者が王太子の前を下がっていく。
場がやや落ち着いた頃合いを見計らい、大会の進行役が競技場を見渡しながら声を張り上げる。
「これから、近衛騎士らによる特別試合を行います」
観客たちの期待に満ちた視線が、競技場の一角に向けられた。
アーチ状の出入り口から姿を現わしたのは、二人の騎士だ。
一人はカイゼル=オルブライト。
彼より華奢な体つきのもう一人は、レジーナ=ヴァルハルトだ。
並んで中央に向かって歩く二人の姿を目で追いながら、観衆は試合の始まりを今か今かと待つ。
「あの体格差だ。カイゼル様が勝つに決まってる」
「いやいや最後まで分からんぞ。レジーナ様はそんじょそこらの女騎士たちと違うからな」
「違うって何がだ?」
「一、二年前だったか。レジーナ様がまだ一騎士団員だった時の話、覚えていないのか?リアム様との結婚が決まったばかりのミルフィナ様の馬車が、王宮からお屋敷に戻る途中、賊に襲われたことがあったじゃないか。その時護衛していた騎士たちの中に、レジーナ様もいて、一人であっという間に十数人を切り捨てて、ミルフィナ様をお守りしたって話だよ」
「そういえば、そんな話、あったな」
男は腕を組んで難し気に顔をしかめる。
「でもなぁ、カイゼル様は筆頭の護衛騎士だろ?以前第二騎士団にいた時も、ずいぶんと活躍されたじゃないか。疾風のごとく縦横無尽に戦場を駆け回っては相手兵士を叩ききる姿は、凄まじいものがあったってさ」
「そうなると、どっちが勝ってもおかしくないかもなぁ」
「それにしても、この試合は、もともとはなかったものだろ?昨夜、リアム様が急に思いついて、カイゼル様とレジーナ様に伝えたって言うじゃないか」
「そのおかげで、今回の見物客は例年以上の入りみたいだな」
「それはそうさ。王族の護衛騎士っていったら、精鋭中の精鋭じゃないか。そんなお方たちの闘いなんて、そうそう見られるもんじゃないからな。お、いよいよ始まるか」
カイゼルとレジーナの二人がおもむろに競技場の中央に立つ。
男たちは他の見物人たちと同じように、前のめりになって競技場の中央に目をやった。
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