家に帰って、俺__ぺいんとはひたすら絵の具のように真っ白な紙に文字を書き連ね、いいと思ったものには◯をつけていった。
「えーっと…あとは… 」
ボールペンを顎につけて考える。
作詞というのは案外難しくて、フレーズも難しい。俺自身に文章力があるわけでもなくて余計にだ。こういうのはトラゾーの方が得意かもしれない。けれど、俺はどうしてもこれは自分でやりたかった。
ふと、スマホが振動する。スマホを持ち上げ画面を見れば、そこには一つのメールの通知。
「っ!」
そのメールを見た途端、俺は嬉しくなって言葉も出なかった。
「…よ………よっしゃ〜〜!!!!!」
家の中、1人で大歓喜した。
そして俺はすぐさまトラゾーにメールを送るためキーボードで文字を打ち送信。相手はすぐに既読をつけて返事が返ってくる。
『マジか!よかったな!』
よかった、と思う反面、クロノアさんとしにがみくんの顔が思い浮かぶ。
まだあの2人は賛同していないし、2人の許可なしに今のところ俺が勝手に進めているだけだ。罪悪感だけが心の中でもやもやと、ザワザワと動いていて気持ち悪い。
足が重くなるような、体が重くなるような、心臓が重くなるような…そんな気がした。
『でも、クロノアさんとしにがみくん…納得してくれると思う?』
メールで打ったのは先ほどとは打って変わった一文。やっぱり怖いのは前から変わらなくて、2人の反応が怖かった。確かにトラゾーがいない日常組なんて日常組じゃないのはわかる。よくわかっている。だからこそだ。
だからこそこの歌だけは頑張りたい。
なぁ、トラゾー。お前ならどうしてた?ぺいんとならできるっていつも言ってくれるお前ならどうする?
お前はちゃんと、みんなを説得させてから幸せな道に進む?なぁ、トラゾー。
「俺には、わかんないよ…。」
一向に返ってこないメールの画面閉じてベッドに投げた。その後、ひたすら泣いた。
もう自分がどうしたらいいのか、何をしたらいいのか、どう説得するのか、どう納得してもらうのか…全てがわからなくなって、ひたすら泣いた。
こんな俺のことが大嫌いなの、おかしいか?
ふと、またスマホの振動。
『お前がしたいことをすればいい。みんなお前が好きだから、ちゃんと説明したらわかってくれる。』
「っ……はは!ウケる…!!」
俺はそんなトラゾーの返信に一つの返事を加えた。
『俺が好かれてんのは当たり前だっての!!でも感謝してやるよ!!』
そこから俺はグループチャットを開いて、一つメールを送信した。
『我儘な俺に付き合ってください。』
そこには俺のメールに既読3とつき、瞬時にみんなが俺のメールを見てくれていた。
そして数時間後、みんなで会議を進めていくこととした。やっぱりみんなと話すっていうのは怖くて仕方がなかったけど、怖がってる自分がバカらしくて酷く笑えた。
なんてったって、俺は俺の気持ちを伝えるだけなのだから。
コメント
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ほんとに、、天才ですね✨ 投稿ありがとうございます! 続き楽しみしてます!(*´꒳`*)
ガチで神作品です…大好きです…めっちゃ♡押しまくります