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「……翔ちゃん ……」
俺は声にならない程小さく、その名前をつぶやいた。
隣のベットに横たわるのは、紛れもなく幼馴染の翔ちゃん。
真っ白なシーツに囲まれて、静かに呼吸を繰り返している。
見慣れた顔のはずなのに、今は…どこか違ってみえた。
「翔ちゃんと会わなくなってから…もう1年か…。」
kamomeと翔は互いが中学校に入学してから別々になり、会う機会も、話す機会もなくなってしまったのだ。
点滴の管が腕に繋がれ、胸の上下に合わせて小さな機会が規則正しく音を刻む。
その光景が、ここが病院であること、そして彼も自分と同じように病気と闘っていること。
それを突きつけてきた。
(どうして…翔ちゃんまで…)
喉の奥が焼けるように痛い。
小さい頃から一緒だった翔ちゃん。放課後に公園で走り回ったり、喧嘩したり、馬鹿みたいに笑いまくったり……。
元気そのもの、太陽そのものだった彼が、今こうして弱々しく呼吸をして、眠っていることが信じられなかった。
___いや、信じたくなかった。
じっっと見つめていると、指がシーツの上でぴくりと動いた気がした。俺は思わず身を乗りだす。
「……んっ…?」
かすかなうめき声。
瞼が震え、ゆっくりと開く。
「か、かもめん!?」
かすれた声で、俺の名前を呼んだ。それだけでも嬉しくて、胸がいっぱいになった。
「翔ちゃん!そうだよ!俺、kamome……!」
声が震える。でも、嬉しさのあまり、大きな声を出してしまった。
「いや、kamomeだよ〜ちゃうよ。なんで…なんでここにおるん…?」
久しぶりの翔ちゃんの声。
翔ちゃんは首を少しだけ傾げ、周囲を見渡した。
「俺……」
と言いかけて咳き込む。
胸の中が、心がざわついた。
やっぱりだ。ただの怪我や風邪なんかじゃない。
__いや、それはそうか。そんなんで入院するわけないもんな。
てことは…翔ちゃんも…何か重い病気を抱えてる…。
「そう!偶然だよ。同じ病室になるなんてな。まさかの隣のベットだし。」
無理矢理そう言って笑うと、翔ちゃんも軽く口角を上げた。
「ほんま凄いわ。奇跡みたいやね。」
その言葉は笑顔だったのに、かすかに暗い気配を感じた。
(俺と同じ。翔ちゃんも…病気と闘ってる…。嬉しいような…悲しいような。)
本当は言いたかった。
「俺、脳腫瘍なんだよ」って。
「怖い」って。
でも…それを口にしたら…きっと翔ちゃんを余計に苦しめる。
だから…ごくんと言葉を飲み込んだ。
俺は、ただただ翔ちゃんの隣に、近くにいたかった。それが奇跡であると思い込みながら。
___だけど心の底では…もう気付いていた。
これが、再会が救いであると同時に、新しく鋭い痛みの始まりであることを。
…………………………………………………………ここで終わりです!
読んでくださりありがとうございました!
余談なのですが…体調不良小説とか病院パロ小説が大、大、大好物なのって私だけですかね…?
理由はよく分からないんですけど…読んでるとめちゃくちゃ楽しいんですよね〜。
是非是非コメントよろしくお願いします!してくれたら死ぬ程よろこんじゃいます!感想も聞きたいし!コメント次第で物語も左右しますし!
あとフォローも!相互フォロワーになりましょ!
それでは、お時間下さりありがとうございました!