テラーノベル
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リビングの真ん中、真っ白なキャンバスを前に、すちは震える手で筆を握っていた。
らんらんからもらった、最高級の「赤」の絵の具。
その色を目にした瞬間、すちの瞳から光が消え、深い泥のような過去に引きずり込まれていく。
(……描かなきゃ。……あの人たちが喜ぶ、『死』の絵を……)
「……すちくん?」
隣で見ていたこさめが、異変に気づいて声をかける。
けれど、すちの耳には届かない。
彼は、萌え袖をボロボロになるまで捲り上げ、狂ったような手つきでキャンバスに赤い絵の具を叩きつけ始めた。
描かれているのは、かつて彼が地下室で描かされていた、血飛沫と絶望が入り混じる悍ましい光景。
前の組織で「死の芸術家」として褒めそやされた、呪いの記憶だ。
「……あ、は。……赤。……もっと、出さなきゃ……」
すちが、絵の具ではなく自分の腕に爪を立てようとしたその時――。
「——やめろ!! すち!!」
鋭い怒鳴り声と共に、いるまちゃんがすちの体を後ろから羽交い締めにし、その手を取り押さえた。
筆が床に落ち、赤い絵の具が飛び散る。
「……離して、いるまちゃん。……描かないと、怒られる……。……僕、役に立たないと……っ」
「誰も怒らねぇよ! んなもん描かなくていい!!」
いるまが叫び、なつがキャンバスの前に立ち塞がって、その悍ましい絵をすちの視界から遮った。
「……すち。……もう、あいつらはいない」
なつが、震えるすちの頬を大きな手で包み込む。
「……こんな色の絵、俺たちの家には必要ねぇ。……お前が今見てるのは、血じゃなくて『ただの絵の具』だ。そうだろ?」
「……ッ、、……。……ごめんなさい、らんらん。……汚しちゃった……」
すちが泣きじゃくりながら謝ると、LANが静かに歩み寄り、汚れを気にせずすちを抱きしめた。
「汚れていい。……お前が真っ白に戻れるまで、俺たちが何度でも塗りつぶしてやる」
らんは、すちの手に自分の手を重ね、新しい「白」の絵の具をパレットに出した。
「……ほら。……この白で、さっきの赤を消してしまえ。……今日のお前は、何も描かなくていい。……ただ、俺たちの隣で息をしていろ」
みことが、汚れたすちの顔を優しくタオルで拭う。
「……ゆっくりでいいんだよ、すちくん。……僕たちの色は、もっとずっと、温かいんだから」
五人の体温に囲まれて、すちはようやく筆を置いた。
過去の亡霊が、兄たちの愛によって、少しずつ霧散していく。
みんな、達成早いよ、、
ありがとね💕
次回♥️200💬1
コメント
4件
…神です神です 大好きです
神神神神
甘月 莉兎
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