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──── それは、桜が散り落ちてゆく頃のこと。
そよ風にのって、桜の花びらが舞う。
湖の近くに1人の少女が立ち尽くす。
少女はただ一点だけを見つめている。
少女が見つめていたのは桜でもなく、湖の透き通った水面に反射している自分の顔だった。
ぐしゃぐしゃに泣き崩れたあとの顔を、映し出しているその水面にひらり__と、1枚の花びらが舞い落ちる。
少女は舞落ちた花びらをただただ見つめる。
しばらくすると、少女の周りに人が集まってきた。
みな少女に声をかける。
少女の周りの人はどうやら、少女の同級生らしい。
同級生たちがニヤニヤとしながら話しかける。
少女はそれをニコニコとしながら適当に流していた。
すると、少女の反応が気に入らなかったのか同級生のうちの一人が少女の髪の毛に着いていた桜のヘアピンを取り上げた。
同 「 う わ 、 こ ん な の ま だ つ け て ん だ 」
少 「 返 し て … ! 」
少女は必死に取り返そうとする、が身長差で届きそうにない。
少女は涙目になりながら同級生に訴える。
少 「 そ れ だ け は 、 そ れ だ け は だ め … ! 」
少 「 お 願 い 、 や め て ! 」
そんな少女の訴えを無視し、同級生はヘアピンを湖に向けて投げようとした___そのとき。
同級生の手を誰かが掴んだのだ。