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二人は大きめのベッドで寄り添って寝る。李仁が倒れてからは湊音はより引っ付く。心臓の鼓動を聞いてホッとするのだ。「李仁、生きてる……」
湊音がここまで李仁に依存してしまうのは、彼が子供の頃に母親を自死で亡くしていることも大きく関係している。自死の理由は今も知らない。彼にとっては最愛な人が急にいなくなることには不安に感じてしまうのだ。
つい最近も恩師である上司も若くして事故で死んでしまった。
少しでも李仁が寝返りを打つと湊音はしがみつく。
「もういかないで、どこにも……」
でも気づけば彼は眠りにつく。
数日後の夜、2人は宅飲みをしていた。李仁が業者からもらったサーバーから出るビールと、つまみは焼き鳥とか皮とかネギマとか砂肝とかにんにく刺しなど。仕込みは全部李仁である。
湊音はビール片手に口は焼き鳥をもぐもぐ、左手にペンを握って2人の日記帳に今日のことを書いていた。
「ねぇ、ミナ君。日記書けた?」
「うん、あと少し」
「食べながら書くとは、行儀悪いわよー湊音先生っ」
「ハイハイ」
「ハイは一回よ、湊音先生!」
「ごめんなさいっ」
いつも通りのイチャつき。2人で一冊の日記帳を使うことにした。書店営業マンである李仁が選んだ日記帳、1日1ページ、半分線を引いて一人一人自由に書く。
剣道部顧問で高校教師もやってる湊音、サラリーマンとバーテンダーを兼務してる李仁。
互いに忙しく2人でいられる時間も限られている。すれ違いをなくすために、そして二人の思い出を残すために用意した日記帳。先日李仁が倒れたことで何かを残したい、その気持ちが高まったのである。
今はスマホやネットでなんでもできちゃうがあえて手書きがいいと李仁は言う。
丸くてクセのある湊音の字、綺麗で力強い李仁の字。2人で観に行った映画やライブの半券、写真、なんかのキャラクターと思われる変な絵。数日の間に色々紆余曲折しながらかき始め、2人の思い出が詰め込まれる。SNSには拡散はしない、2人だけの世界。
その夜も下戸な湊音が酒をたくさん飲み、酔い潰れながらも李仁をベッドに誘い布団の上で2人は乱れた。
「ミナ君、変態」
「もっと言って」
「変態っ」
重なる唇、何度も組み換える手、絡み合う脚……。やはり湊音はまだ不安なのだ。
「李仁……李仁……」
以前よりも積極的になった湊音を見て李仁も何か変化を感じていた。強く抱きしめて
「大丈夫、ずっと一緒だから……」
そう湊音に囁くと湊音の顔は安らぐ。
「もっと、もっと……」
その日は酒の勢いもあったのか日をまたいでも行為は終わらなかった。湊音は李仁を求め続けた。実は湊音、かなりの絶倫男なのである……。
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