交番についた頃、私は持久走のときと比べものにならないくらい息を切らしていた。いつもなら走れないような距離をこんなときなら走れてしまうのだから本当に不思議である。
「ッハァハァッハァッハァ、あの!!お巡りさん!!ッハァハァ今、ッハァ友達が、ハァいじめられてて、あの、助けてもらっていいですか?ッハァハァ……」
「え?今忙しいからちょっと待ってね」
「ゆっくりしてられないんです!!!!一刻を争います!!」
「はいはい、10分くらい待っててくださいね。その後行きますから。」
これ以上話していてもしょうがないが他に方法もないので、一旦待つことにした。
待っている間、ずっとあの光景が頭の中で繰り返されていた。鈴華は大丈夫だろうか。立てないような深い傷は負ってないだろうか。考えれば考えるほど焦る気持ちでいっぱいになってしまう。
「よし、行こうか。どこか教えてもらっていいかな?」
「こっちです!!」
私は警官と一緒にさっきの場所まで戻っていった。
───そう、着いたところで遅いということを知らずに走っていたのだった……。