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「マナ… 本当にごめんね…… うちが貧乏なせいで―――。」

「ううん、貧乏なのは仕方が無いから。 それに、私はパン一切れで十分よ!」

「マナ……、、」

「だからお母さんは、このコーンスープ飲んで 元気出して! ほら、仕事でしょ?」

「…えぇ…。(マナに申し訳無いわ…)」


私は 金子優香(かねこ ゆうか)。

家が貧しく、夜食はパン一切れなどの事も多い。


―――せめて仕事が出来れば、もう少しお金もあったのかも知れない。

でも、仕事をするためのお金すら無いのだから、それは不可能だ。


_____私、どうすれば良いんだろう…?

マナにとってのお父さん ――拓哉(たくや) は、働いているものの あまり収益が得られず、苦戦している所だ。


「はぁ―――。」


思わず 親子そろってため息を漏らした。

そして私は、余った少しのお金で 食材を買いに行くことにした。




―――行きの道で


「はぁ―――。(マナに迷惑をかけないために、どうすれば良いのかしら___。)」


そうして、気持ちが重くなった時だった。


「そこのお姉さん、新品の人生、買ってかない?」

「へ―――?」


私に声をかけてきたのは、暗闇から急に出てきた男性だった。

彼は白いパーカーにフードを被っており、顔は見えない。

なのに何故か、恐ろしいオーラを放っていた。


それより、新品の人生とはどういう事だろう?


「君、裕福になりたい… というより、娘に迷惑をかけたくないんだろう?知ってるよ。」

「え?なんで……(なんで知ってるの―――、、)」

「僕は特殊な人間だから―――。 それより、早く買って欲しいな。」

「えっと――― 何を?」


彼の声は 私にとって落ち着く声で、思わず聞き入ってしまった。


「新しい人生を、だよ。」

「人生―――?」

「うん。 まぁ前払いだから、お金は払ってね。 お代は____ ま、5億とかそこらで?」

「ごごご、5億!?!?? そ、そそ、そんな―――、、、 今、何円持ってると―――、、」

「あっ、そっか___。 じゃ、無料で良いよ。君良い人だし、仕方ないかなー。」

「え?(5億から無料に―――?)」


彼、一体どういう人なんだろうか___。

真相は謎のままだ。


「じゃーあ、早速体験してもらおうか。 えっと――― あ!これじゃあ、娘に迷惑をかける事には変わりないか___。」

「へ――?」

「そーだ! あのさぁ、今から娘を呼んでくる事って出来る?」

「…出来ますけど、、」

「じゃ、呼んできてよ。」

「わ、分かりました……」


よく分からないけど、逆らったらいけない気がする。


そして私は急いで家に走り、娘を連れてきた。

そこからどんどん話は進み、私は“人生”を買うことになった―――。















「ふあっ、はあ、はぁ…!! え、私―― インスタ… え?」

「君は、金子優香 でしょ?」

「優香――― あ、そうだ!私、優香―――、、 え、じゃあ、真衣ってのは?」

「真衣は、君とは別の人生。」

「えぇ?何のこと―――、、、」


私がパニックになっていると、まだしっかりある記憶 ――娘も話に割り込んできた。


「え、私って愛依じゃなかったっけ… ってか、マナって私!? じゃあ、愛依ってのは誰――?」


娘、彼女の名前は______

そうだ、娘の名前は「マナ」で、私の名前は「優香」だ。


きっと「真衣」や「愛依」っていうのは、私とマナが見ていた夢に違いない。

そう、きっとそうだ。


「―――少しは現実逃避できた?」

「えぇ、とても。 ありがとう!」

「うん…… 本当は命も欲しい所だけど、こんな人からは取れないかな―――。」

「? 何のことです?」

「あぁ、こっちの話。 じゃ、僕はこれで―――。」


彼は 名残惜しそうにそう言うと、足がふっと宙に浮かんだ。

そして、闇に飲み込まれるかのように飛び去っていってしまった。


「あの人、どっか行っちゃった…」


マナも、私と同じで 未だパニック状態。

でも、もう少し彼と話したかったんだろう。


少し怖い雰囲気を纏っていたけど、同時に 一緒に居ると心地の良い気もしたからだ。


「でも、楽しかったよね、お母さん!」

「そうね!すごく楽しい夢だったわ!まさかあんな幸せがあるとはねっ!」

「うん! じゃ、家帰ろっか!」

「えぇ、帰りましょ!」


そして 私達は手を握り、軽快なステップで歩き始めた―――。



―――



『選ぶ相手を間違えたな……。 転売って言わないし笑。 僕、人間っちゃ人間だし、感情はあるからな―――。』

『さ、切り替えて、次の人生売りに行くか。』


僕は、これまで貰ってきた金を眺めながら、次の場所に向かった。

人生転売ヤー【短編集】

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