テラーノベル
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まずは町で聞き込みを行うことにした。
私は彼らと違って、この町であまり人に会うことがない。
そのぶん、“旅人”として自然に情報を集めることができた。
わかったことは──
1. 最近、毎晩ひとりずつ行方不明になる人がいる
夜中に、赤いフードをかぶった小柄な影を見かけた者がいる
以前、路地裏にたむろしていた者たちを見かけなくなった
これ以上は聞き込んでも、同じような情報しか得られなかった。
だから──とにかく、夜に動いてみることにする。
夜。
空には三日月が浮かび、まるで私の行動を嘲笑うように輝いていた。
(……嫌な感じ)
私は、路地裏へ向かう。
あの日、彼と出会った、あの路地裏へ──
舗装が剥がれた石畳の上に、私の足音が静かに響く。
胸の奥の不安に、ぎゅっと蓋をして進んでいく。
雲が空を覆い始め、月の光が消えていく。
光のない夜。音だけが、世界を支配していく。
──そのときだった。
遠くから、笑い声が聞こえた。
びくりと体が跳ねる。
見ると、路地の奥に、ふたつの影が揺れている。
(だれ……?)
その瞬間、閃光が目の前を走った。
反射的に私は物陰に身を潜める。
(……一人、いなくなった?)
空が晴れて、再び月明かりが降りてくる。
その光は、赤いフードをかぶった“誰か”の姿を照らし出した。
踊るようにステップを踏み、静かに笑うその人物。
風にローブが揺れて、フードの奥から──
見慣れた、“金色の瞳”がこちらを向いた。
正体は……ドリームだった。
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