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#衝撃のラスト
山根利広
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『祖父をこの家で介護してたんです。僕と母で介護してたのですが祖父の息子である父は仕事が忙しいという理由で全部僕らに押し付けていました』「それはいかんやつや! 自分の親の世話を嫁や子供にまかせっきりなやつ」
事情は知ってる虹雨が合いの手を打つように話す。由貴はその辺はスルーした。
「んで?」
『……そう言われると僕もなんかアレですが、僕も世話して祖父がだんだん具合がひどくなると嫌気さしてきて手伝うのが嫌になってきました。子供の頃一年に一回会ってお年玉もらったり遊んでもらってたのに』
「でもなんかその気持ちわかるかもしれん」
『でも手伝ってはいましたが母に負担いってたのは確かです。下の世話や汚いものの処理は全部母任せで……風呂も母一人で入れさせてました。と言っても体を洗うだけで週に数回訪問介護の方が来てくれて一緒に入れてました』
「そうか、あそこにいたのは入浴させている時だったのか……」
「ちなみにキミヤスのお母さんはずっと主婦でお父さんはそれなりの給料もらってた。だから育児や家事以外は自由で読書買い物したりと気ままに過ごしてたらしいがいきなりの義父の介護に自分の生活を狂わされたらしい……」
とまともに解説を入れる虹雨。
「その解説は助かる」
「なんなん、由貴。話の合間につっこむな、話聞いたれや」
キミヤスがまた申し訳なさそうに二人を見ている。
「すまん。んで……?」
『ある日、母がいつものように一人で風呂場に祖父の体を洗いに行ってる時でした。変な音が聞こえて、僕はここで本を読んでました。おかしいと思っても行かずにここにいたら血まみれの母が出て来て刺されました』
「いきなり?! そのまま死んでしまったんか……」
『でも意識はあったんです。喉元を切られて血がたくさん出て部屋の壁や床に僕の血が……。で、倒れて。少し時間経って夜になってからいつものように父が帰ってきて倒れてる僕を見て異常に気づいた父は血まみれで座ってる母と揉み合いになって父は死にました』
由貴は言葉が出なかった。
『きっと介護してきたから力がついたんでしょうね……介護士さんとか周りの人に迷惑かけたくないって自分一人で抱え込んで……』
キミヤスはボロボロと涙を流した。
「泣かないで、大丈夫かな……てかこの話はもう虹雨にしたやろ、何度も言わせてすまんな」
『いえ、大丈夫です。聞いてもらえるのが嬉しくて』
キミヤスはボロボロと泣く。止まらない。
「キミヤスは母親の辛さを見かねてSNSに書き込みをしたり、時折尋ねる介護士さんに話をしていたそうだがどこも同じ、と言われてまともに聞いてくれる大人がおらんかったそうや。ちゃんとそこで大人が動いてたら……」
「そうや、キミヤスがこんなに泣くなんて余程のことや……お父さんもしっかり介護して理解してくれてたら」
「と、ここまではよかった」
と虹雨が話を区切る。
「なんなん、ここまでは、て」
「そのあとキミヤスのお母さんも浴室で首掻っ切って死ぬんやけどもそれでちゃんちゃんでなかった」
「そやな、それで終わったらもうとっくに除霊は終わっとったわ」
「やろ?」
「虹雨が解決して僕が巻き込まれることはなかった……」
「そや」
「……そや、やない。なんで僕がここにきてお母さんとおじいさんは除霊できたか」
「まぁ最後は俺が除霊したが」
「それはお前の仕事」
そう、由貴には除霊の力はほとんどない。全くないわけではないが。
「……キミヤスは知らん、親たちの事情があったんや」
「何、事情って」
『……え』
虹雨は立ち上がって話を始めた。
「お母さんは介護をお父さんから押し付けられた。上下関係がはっきりしとる、いわゆる亭主関白」
「そんなんやなくてぐうたら親不孝息子や」
虹雨はキミヤスに目線をやってから由貴を見る。
由貴はハッとした。
「キミヤスの父親のことやで、言葉慎め」
「すまんなぁ、キミヤス」
『いえ。僕にはとても優しくもあり厳しくもありましたしが好きでしたし、母は父を慕ってました……でも僕よりも母に当たりは強かったと思います。子供ながらに思ってました』
キミヤスは高校生くらいであろう、子供の頃から父と母の関係をそう感じ取っていた。
「キミヤスがいないところではもっとあたりはきつかったんやろ。子供には見せんかんじで」
『はい、でもときたま母が失敗をしたりするとお母さんはダメだなぁとか目の前で叱ってました』
「そこや。そしておじいちゃん、つまり自分の父親に対しても……」
『……昔からあまり仲良さそうではなかったです。おじいちゃんも昔亭主関白みたいな感じで。過干渉されるのが嫌で逃げるように東京に引っ越してから一緒についてきた母と結婚したというのは聞いてました』
「出身は」
『岐阜です』
「同郷や……」
由貴は自分たちとキミヤスとの意外な共通点に驚いたのだ。
コメント
1件
麻木香豆さん、今話読み終えました。キミヤスの壮絶な過去に胸が詰まりました。介護の重圧が家族を少しずつ壊していく様子がひしひしと伝わってきて、特に母親が一人で抱え込んでしまった悲しさが残ります。虹雨と由貴の優しい受け止め方にほっとしましたが、最後の「まだ終わってなかった」という言葉が気になりすぎます。続きが待ち遠しいです。