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これは高校生の頃に私が実際に呪われた時の体験談です。対処が早かったので凄く短期間のお話になります。
身に覚えのある人が聞いてしまうと身バレしてしまうので詳細は伏せますが、簡単に経緯を説明しますと、中学の頃私と仲の良かった女の子グループと対立していた男子(以後『A君』と呼びます)が1人いまして、その後偶然A君と同じ高校に入学した私はA君と関わりなどなかったのですが、A君に彼女(以後『Sさん』と呼びます)が出来た事で おそらくA君は彼女に私の悪口を吹き込み、興味本位でSさんが友達と教室にてこっくりさんを行った時に私の名前を出した事から始まります。
私自身、全くもって彼等に恨まれるような身に覚えなどなく、偶然にも遊び本位で対象にされたのだと、全て終わった後で知りました。
ちょうどその時期、私は部活の全道大会の遠征で横浜に行っていました。遠征に行く直前に何やら体調を崩し始め、といっても風邪ではなく、妙な倦怠感が始まりでした。私にも守護霊的な霊体が数名憑いていたのですが、ある程度弾いても倦怠感が残るくらい、降ろしたモノは強かったようです。初めこそ倦怠感のみでしたが、1日…2日と日を追う事に『引っ張られる感覚』が増していきました。
その感覚は、例えるなら足を地面につけて直立しているところに、地面から手が出てきて足首を掴み、そのままズルッと地面の下に引きずり落とされるような感じです。硬いはずの床が、ぬかるんだ土の上を歩くような ぐにゃぐにゃとした感触がするのです。足を引っ張られ、意識ごと持っていかれる、そんな感覚です。
遠征が始まり、宿泊先のホテルに移動したのですが、風呂上がりに同級生のYと一緒に自動販売機で飲み物を買おうとした時でした。
格安だったのか、ホテル自体がかなり古くて自動販売機が置いてあるスペースも薄暗かったのですが、色のついていたはずの床が急に一部透明になったように見え、床の下に真っ白い男の子らしき顔がありました。その子が甲高く笑った直後、床から無数の白い手が出てきて、私の足と腕を強く掴み、そのまま勢いよく床の下へと引きずられました。あまりにも急だったので防御も出来ずに膝から崩れ落ちそうになったのを、Yが慌てて咄嗟に引っ張りあげてくれました。
Yは見える訳ではないらしく、でも気配で霊を認知出来る人だったので、急にぶわっと冷気が下から飛んできた感覚を受けて、咄嗟に私の腕を掴んで支えてくれたのだと言います。「飲み物は別の場所で買おう」とYは私を引っ張りそこから急いで離れました。結局Yと顧問と一緒に最寄りのコンビニへと出歩き、部屋に戻った訳ですが、Yは終始青ざめていました。「ねえ、なんか雪の周りに冷気凄い集まってくるんだけど、大丈夫?」と本気で心配してくれたようで、部活内で唯一霊感持ちでオカルト好きだった3年の先輩の所に私を連れて行きました。
先輩は私に近付くなり「寒!!」と叫び、Yは「でしょ!?私見えないけど、なんか集まってきてるのわかるんです!先輩これどうしよう!!?」と私以上に焦っていたようで、先輩は私の両手を握って目を閉じました。しばらくそのままでしたが、やがて先輩が私の足元を見て「……呪われてるね、これ」と一言。「呪いにも色々あるけど、私が見た感じだと誰かが降霊術をして、遊び半分で呪いの対象を雪ちゃんにしちゃったんだね。たぶんこっくりさんとかその辺だと思う。元々降ろされて憑いてきちゃったのはちっちゃい男の子だけど、遠征でこの土地の地縛霊みたいなやつと共鳴しちゃったんじゃないかな。とにかく引っ張られてるなら早く跳ね返さないと、持ってかれちゃうよ」先輩はそう言って再び私の手を握りました。「降ろした子は女の子だね。誰か心当たりある?」と言われ、何故か今まで覚えがなかった私ですが急にパッと浮かんだのが、Sさんでした。「呪術って、術者がわかると跳ね返せるんだよ。思い当たる人がいるなら、その人の事を思い浮かべて『還れ!!!』って強く念じてみて。もし術者がその人で合っていたら、雪ちゃんに憑いた呪術は解けるし、跳ね返って術者の子はどんでん返しを食らうよ」人を呪わば穴二つだね、と先輩に言われて、私はSさんを思い浮かべて言われた通りに念じました。
心配だから今日は一緒の部屋で寝ようと先輩に言われ、Yと先輩の部屋にお邪魔して一夜を過ごしました。ーーー翌朝、あれだけ酷かった倦怠感が嘘のようになくなり、変な霊障もなく熟睡出来た私は無事全道大会にも元気に出場して、その後皆で地元に帰りました。
部活メンバーのみの振替休日を頂いた後 学校に登校すると、真っ先に聞いた噂が『SがAと別れた』という話題でした。わりとカップルとして学校では有名な2人組だったので、噂は瞬く間に広がったようです。別れた理由は誰に聞いても分からず、Yが友人から聞いた話だと Sさんは突然A君に別れ話を一方的に切り出されたと言います。そしてそこから数日後、自体は思わぬ方向に進みました。今まで周りの女友達に彼氏自慢を散々していたぶりっ子系のSさんを良く思っていなかったのか、Sさんが入っていた女子5人グループ内で壮絶なイジメが起きたらしいのです。どんな内容だったのかは詳しく知りませんが、5人グループの中でのシカトから始まって最後はクラス内でも味方がいなくなり、完全孤立した後、やがて1か月しないうちに彼女はそっと転校して行きました。
後日、なんと女子5人グループに(4人になってしまいましたが)急に話があるからと呼ばれました。
「あのね、ちょっと前の話なんだけど……。Sがこっくりさんをやってみたいって言い始めてさ。その場に居合わせたAが「こっくりさんって人殺せるの?」って思い付きで言って、Sが「じゃあ物は試しで誰か呪ってもらお♡ Aと仲悪い雪さんにしてみよー♡」とか言って降霊術中に雪さんの名前出しちゃったんだよね。で、Sが面白がって「雪さんを早く殺して下さい!早く早く!」って言ってて。ウチらなんの恨みもないし止めたんだけどさ……」「あの時のS、なんか取り憑いてるんじゃないかって感じの雰囲気だったよね」「うんうん、怖かったよね。なんか目がイッちゃってた」「Aも怖くなって別れたんじゃね?うちらもなんで別れたのか知らんけど」「……雪さん今のところ元気そうだけど、大丈夫だった?」
私はひとまず身に降りかかった出来事を伝えると、女子4人は怖がりなのか震え上がっていました。むしろ私は、学年でトップクラスの目立つ女子グループに突然呼び出されたことの方がよっぽど怖かったです……。
それはさておき、先輩はSさんの転校に至る話を聞いて「自業自得じゃん」と呆れていました。「霊感もないのに遊び半分でそこそこ強い霊体を降ろしといて、しかも遊びで人を呪うなんて自業自得だよ。むしろイジメだけで済んで良かったね。命拾いしたじゃん」確かにその通りだと思います。こっくりさんで降ろしたのが偶然 動物の低級霊じゃなく 人の中級霊だった為、『還れ!!』という言葉にしっかり応じてくれたのかもしれません。
人を呪わば穴二つとは、まさにこの事ですね。丑の刻参りがいい例かもしれません。あれも見られたり術者がバレると跳ね返るらしいので。呪術はド素人が手を出すには非常に危険と言いますが、本当に跳ね返ると目に見えて術者が人生崩壊をするのだと、身をもって体験した出来事でした。