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「今夜だけ…………私を…………『九條瑠衣』として……抱いてくれますか?」
考えもしなかった瑠衣のお願いに、侑の心臓が大きく打ち鳴らされ、目を見開いた。
「…………」
何と返答していいものか分からず、言葉を失ったままの侑。
何かとんでもない事を言ってしまった、と思ったのか、彼女は俯いた。
身体を繋げたまま沈黙している状況に、滑稽だなと思いつつ、侑は強く肉塊を突き貫く。
「はうっ…………んあぁっ」
背後から彼女の華奢な身体を抱きしめ、やわやわと胸を揉みながら、侑は細っそりとした首筋に舌を伝わせる。
「……響野先生……やっぱり…………今……私が言った事…………忘れて下さい……」
(…………コイツは無意識に、俺が寂しくなる事を言ったりするんだよな……)
侑の眉間に自然と皺が刻まれていくのを感じながらも、彼女が言った言葉で虚無感に包まれた。
「俺は——」
侑が途中で言葉を途切らせ、逡巡しながら窓越しに映る瑠衣の大きな瞳を捉えた。
「俺は…………お前が俺を響野侑だと分かってから、俺は『愛音』ではなく、『九條瑠衣』として抱いているが?」
言いながら瑠衣の腰を掴み、緩やかなスピードで腰を律動させ始めた。
「んあぁっ……ああぁっ…………はうっ……」
侑が言った言葉で、瑠衣の中の肉壁が彼の肉杭に纏わりつき、締め上げてきた。
彼の背中に迸る悦楽を感じつつ、彼女の膣内が吐精を促してくる。
(ヤバいな……このままだと……すぐ……イキそうだ……)
ガラス越しに映る瑠衣の表情は快楽に歪み、侑は苦痛とも享楽とも取れる表情で身体を交えている。
「せんせっ…………ああぁっ……感じちゃっ……ううぅっ——」
侑の腰の動きに強さと激しさが増していき、瑠衣は身体を撓(しな)らせながら天を仰いた瞬間、身体を脱力させた。