テラーノベル
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ズリオチール国王不法投棄の件で事情聴取を行うと、王室から呼び出しがあった。
だが、レンタロウは「お前らが来い!」と、王族を自身の店に呼び寄せた。
ズリオチール王国からの出席者は国王。
ハミデール王国の代表として、王妃(ズル女)が参加している。
ズル女の護衛は、女騎士のアデルだった。
レンタロウ・チームは、サキュバスのメリッサだ。
もしもの時のために、用心棒としてカタクリ子(空気嫁)を待機させている。
「連太郎、お前はどえらいことをしでかしたものだな……」
派手な鎧を纏ったアデルが、苦笑いで近づいてくる。
「アデルさん。なぜに王妃が?」
「審査員としてきたらしいが……たぶん」
「アデルさん。その鎧は、なんというか、個性的というか……。レインボー?」
見る角度によっては虹色に見える鎧だ。
目が痛くて凝視できない。
「これか? 地味だろうか?」
「真逆だと思いますけど」
アデルは乙女チックな笑顔をみせると、その場で一回転してみせる。
「っておい! 半分しかないじゃないですか!」
「ちなみに、50%オフで買ったのだが……ヨロイの後ろ側がなくてな……。レンタロウ。お前はどう思う? 値切らなければよかったのだろうか……」
前から見ると立派なフルプレートメイル。
前半分しか鎧を着けていないため、後ろから見ると、下着丸出しの変態騎士だ。
白いガーターベルトが神々しい。
「アデルさん、ちょっといいですか?」
「なんだ?」
「泥ダンゴで作った、改良版モンキーボールの威力を試したいんですけど、協力してください」
モンキーボール1号(護身用グッズ)は、ドコミ王女の頭で粉砕されてしまった。
2号が完成したので、試したいと考えていた。
硬いもので真っ先に思い浮かんだのが、女騎士アデルだった。
「アデルさん、兜をつけても良いですよ?」
「構わん、いつでも来い!」
「そんじゃ、遠慮なく」
大丈夫かな……。
20センチほどの紐にくくりつけたモンキーボール2号を、くるくる回す。
勢いがMAXになったのを見計らい、思い切り振り下ろす。
レンタロウの予想通り、木っ端みじんだった。モンキーボール2号が。
この人に防具なんか要らないじゃん……。
「あらあら、まあ、まあ……」
ズル女(王妃)が微笑む。
ズリオチール王は、ビビって体が固まっている。
「あらあら、まあ、まあ……」
おもむろに立ち上がったズル女(王妃)。
2メートルほどあるドレスの裾をズリっと引きずりながら前へ出ると、手に持ったグラスを高々と掲げた。
「あらあら、まあ、まあ……」
和やかな雰囲気のなか、ズル女王妃の号令で事情聴取という名の飲み会? が始まった――のだろう。
ズル女王妃は、“さあ、始めましょう。乾杯!”と言ったようだ。
「王妃は、あいかわらず何を言っているのか分からん……」
下着丸出しの派手な鎧を身に着けたアデルは後ろを向き、必死で笑いをこらえている。
鎧の奏でるカタカタ音がうるさい。
ズリオチール王は、持参した“キャスター付きの座椅子”に座り、口を真一文字にしたまま微動だにしない。
少しでも動けば、メリッサの持つカタクリ子でド突かれるからだ。
和やかな雰囲気のなか、ハミデール王が、メリッサにへし折られた杖で床をコンとつく。
小ぶりなひじ掛けに挟まり、抜けなくなったようで、ズリオチールは座椅子ごと立ち上がる。
「あらあら、まあ、まあ……」
ズル女も立ち上がる。
小ぶりなひじ掛けに挟まり、抜けなくなったようで、ズル女も座椅子ごと立ち上がる。
2人とも、座椅子にハマっとるんかい!
レンタロウが、下を向いて笑いをこらえる。
「ズリオチール王からお言葉があります。皆、心して聞くように! と、王妃(ズル女)が言った気がする……」
ズル女の通訳、“できる女騎士”アデルが開口した。
レンタロウに話すと見せかけて、ズリオチールは、中腰気味で王妃に耳打ちをした。
#玉座がメインヒロイン
#漫画原作希望
「あらあら、まあ、まあ……」
ズル女は眉尻を下げ、首を横に振る。
手招きでアデルを呼び寄せると、なにやら耳打ちを始める。
ズル女の声は、少し離れたレンタロウにまで聞こえるほど大きい。
いつも何を言っているのか分からないのでどうでもいいが。
「あらあら、まあ、まあ……」
「なるほど」
アデルは眉間にシワを寄せる。
相づちをうちながら、ズル女の言葉を適当に聞いているっぽい。
アデルは軽くうなずくと、レンタロウを見据えた。
「王妃が何を仰ったのかわからんが、連太郎の処分が決まった。これから王妃のお言葉を伝える。しかと聞くがいい。すまぬが、メリッサ、こちらへ来てくれるか?」
なんでだよ。僕じゃないのかよ……。
アデルがメリッサを呼び寄せる。
耳打ちでメリッサにレンタロウの処遇を伝えたようだ。
「わかったぞ!」
アデルからの伝言を受け取ったメリッサは、まただれかを指名しようと辺りを見回した。
いや、おまえ絶対わかってないだろ!
メリッサは、カタクリ子を脇に抱え「伝言、なんだっけ?」と、ブツブツ言いながらハミデールの許へと赴いた。
メリッサから伝言を受け取ったズリオチールは、王妃に耳打ちをするのだった。
いつ終わるんだよ、この伝言ゲーム……。
面倒くさいから家に帰ってしまおうと、店を出ようとしたときだ。
なぜかズル女の口から、レンタロウの処遇が伝えられた。
「あらあら、まあ、まあ……」
ズル女の言葉を聞いたズリオチールは、キャスター付きの座椅子でスルスルと移動してくると、したり顔でレンタロウの顔を見ながら、
「おまえ、死刑!」
ズリオチール王の言葉を聞いたアデルが、慌てて手を小刻みに振りながら、
「いやいやいや! 王よ。それは空気嫁(カタクリ子DX)です……」
なぜかズル女を見やる。
「あらあら、まあ、まあ……」
半笑いのズル女。
「違う! 後ろにいるやつだ!」
半分になった豪華な杖を振りたくり、慌てて訂正するズリオチール王。
「あらあら、まあ、まあ……」
「ええ~、宴もたけなわではございますが、この辺で会を締めたいと思います。で、連太郎の処分の件ですが……と、王妃はおっしゃっている……気がする」
と、ズル女が飲み会を締めようとしているらしい。
「連太郎は追放処分とする!」
結局、アデルが力強い声でレンタロウの処分を伝えた。
え? 僕に弁明の機会は与えてくれないのか?
レンタロウはズリオチール国王不法投棄で、いま彼が住んでいる国『ズリオチール王国』から追放される運びとなった。
傷害の罪を問われるも、おとがめなしだった。
ズル女が、ズリオチール王に減刑を進言してくれたようだ。
__出国の日。
固く閉ざされた木製の扉。
主を失った店の扉に貼られた閉店の告知文。
レンタロウは、ズリオチール王国で出会った人たちのことを考えながら店の看板を見上げた。
『大人の楽園デイドリーム』
かなり儲かっていただけに残念だが、立退料という名目でズリオチール国王から大量の金貨を奪い取った。
節約すれば3年ほど暮らせる額だ。
だが、お金より、ここで構築した人脈を手放すほうが痛手だ。
女騎士のアデル、ボブリン族のボブ子に別れの挨拶をしておきたかったな。
ハミデール王国へは入れない。
出禁が解除されたら会いにいくかな……。
ズリオチールの王都を振り返ると、いつもと変わらない城下町が広がっていた。
大量の金貨が入った頭陀袋2つを、キヨコの背に乗せる。
「じゃ、行こうか……」
開業、追放。開業、追放……。
おかけ様で、たくましくなったわ!
さて、どこへ向かおうか……。
レンタロウは相棒のチーターと共に、未知なる世界へと踏み出した。
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