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恵
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「あ! 侑さん、着いたみたい」
一時間ほど、公園のベンチに腰掛けて、他愛のない話をしていた瑠衣と美花。
夫の侑から、瑠衣のスマートフォンに連絡が入ったようで、声を弾ませている。
「駐車場に車を止めているみたいだから、一緒に行こうよ」
「じゃあ、せっかくだし、私、旦那さんに挨拶してから帰るね」
二人はベンチから立ち上がると、侑の待つ駐車場に足を運んだ。
公園のすぐ近くにある駐車場に着くと、瑠衣が黒のSUV車に小走りで近付いていき、美花も足早に続いた。
「侑さん、お疲れさま。迎えに来てくれて、ありがとっ」
瑠衣が笑みを弾ませながら、運転席の窓をコンコンと軽くノックさせる。
「…………その表情からすると、浦野さんと楽しい時間を過ごせたようだな」
運転席の窓が開かれ、夫の侑が癖の掛かった長い前髪を掻き上げる。
「みかリン、いるよ」
「…………ん? みかリン……?」
「こっ……こんにちは」
先日会った時と同様、瑠衣の夫、侑は、眉間に皺を刻みながら鋭利な眼差しを妻に向けた後、隣にいる美花へ視線を移す。
「…………ああ、浦野さん。今日はありがとう。瑠衣も楽しかったみたいだ」
冷酷そうに見える侑の顔立ちが、美花を見て唇を口元を微かに開かせる。
「いえ、私も瑠衣ちゃんとランチできて、楽しかったです。色々お話もできましたし、充実した時間を過ごせました。じゃあ……ルイルイ、また会おうね」
彼女が、響野夫妻に会釈をした後、吉祥寺駅に向かおうとすると、瑠衣の声音が小さな背中に投げ放たれた。
「みかリン、侑さんが送るって!」
「…………浦野さん。君の自宅まで送る」
「……いいんですか?」
「侑さんが送るって言ってるんだから、いいんだよ。みかリン、車に乗ろう?」
瑠衣が助手席に乗り込み、美花は後部座席のドアを開いて、シートに腰を下ろす。
「すみません、ありがとうございます」
「よし、出発するぞ」
侑がシフトレバーをDモードにさせると、黒いSUV車は滑らかに走り出した。