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船が静かに動き出す。

各々部屋に戻り、俺はベッドへ横になった。今日はもう疲れたな。



「おやすみなさい、ラスティさん」

「おやすみ、スコル――って、同じ部屋!?」

「え、ええ……ダメですか?」


「いや、その、いろいろとマズくないか」

「実は、わたしの使っていた部屋はテオドールさんに譲ったんです。他に部屋がありませんから」



それで俺の部屋にいるのか。そういう事情なら仕方ないけど。俺は、スコルをベッドに招いた。



「ほら、スコルが使うといい」

「ラスティさんは……?」

「俺は床で寝る」


「ダメです! 一緒に寝ましょう」

「そ、それはさすがに……うわッ!?」


躊躇ためらっていると、スコルが腕を伸ばして俺を手繰り寄せた。俺はスコルに抱きしめられて逃れられなくなった……。大胆だなあ、もう。


でもなんだろう、柔らかくて凄く落ち着く。次第に眠気が襲ってきて……俺は不本意ながらも眠ってしまった。





目覚めると、俺はまだ柔らかいものに包まれていた。……あれ、なんで暗いんだ。外はまだ夜なのか――?


にしても、目の前が暗くて柔らかいな。


「……ラ、ラスティさん!?」

「ん? え? スコル?」

「ちょ、そこは……恥ずかしいです」

「へ? 恥ずかしい??」


俺はいったい、スコルのどこを触っているんだ!? 皆目見当もつかない。頭か? 胸か? お腹か? それとも足?


結局、それを確認する術はなかった。

なぜなら、シーツで俺の視界がさえぎられてしまったからだ。スコルは息を荒くして部屋を出て行ってしまった。いったい、何があったし……?



――スコルを追いかけて、甲板を目指す。



ハヴァマール達はまだ起きていないようだ。甲板に出ると――船は、静かな海に停泊していた。……おぉ、もう俺の島についていたのか。


船の先端にスコルの姿があった。



「スコル、さっきはすまなかった。許してくれ」

「い、いいんです。ちょっと嬉しかったですし、気持ちがビックリしちゃっただけなんです。だから気にしないで下さい」



こちらに振り向くスコルは、素敵な笑顔を向けてくれた。どうやら、怒ってはいないようだ。……良かった。


改めて謝罪すると、スコルは「気にしないで」と抱きついてきた。……なんか最近のスコルの距離感、近いな。でも嬉しい。


「やっと島に着いたな」

「はい、ここがわたしとラスティさんの“帰るべき場所”です」

「そうだな。一緒に帰ってこれて良かった」


素直に気持ちを打ち明けると、スコルはまぶたを閉じた。桃色の唇をわずかに突き出し、何かを待っていた。


こ、これって、もしかして――。



急にドキドキしてきた。


スコルがキスを望んでいる?



俺は……どうしたいんだ。

スコルとこれからも一緒にいたいし、そばにいて欲しい。だから……。だからこそ、俺は気持ちに応えようとスコルの肩に手を置いた。


ぴくッと肩をすくませるスコル。

目尻には一粒の涙。


ずっと待っていてくれたのか。


なら、俺は――。



ゆっくりと、顔を近づけていったその時だった。拠点にある家が爆発を起こした。ドォォンと激しい炎を上げ、煙が上がっていた。……ま、まさか!



「ラスティさん、これって……」

「……アルフレッドとエドゥが危ない!! 行くぞ!」

「はいっ」



俺は、スコルを連れて拠点を目指した。

頼む。無事でいてくれよ、二人とも。

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