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船が静かに動き出す。
各々部屋に戻り、俺はベッドへ横になった。今日はもう疲れたな。
「おやすみなさい、ラスティさん」
「おやすみ、スコル――って、同じ部屋!?」
「え、ええ……ダメですか?」
「いや、その、いろいろとマズくないか」
「実は、わたしの使っていた部屋はテオドールさんに譲ったんです。他に部屋がありませんから」
それで俺の部屋にいるのか。そういう事情なら仕方ないけど。俺は、スコルをベッドに招いた。
「ほら、スコルが使うといい」
「ラスティさんは……?」
「俺は床で寝る」
「ダメです! 一緒に寝ましょう」
「そ、それはさすがに……うわッ!?」
躊躇っていると、スコルが腕を伸ばして俺を手繰り寄せた。俺はスコルに抱きしめられて逃れられなくなった……。大胆だなあ、もう。
でもなんだろう、柔らかくて凄く落ち着く。次第に眠気が襲ってきて……俺は不本意ながらも眠ってしまった。
◆
目覚めると、俺はまだ柔らかいものに包まれていた。……あれ、なんで暗いんだ。外はまだ夜なのか――?
にしても、目の前が暗くて柔らかいな。
「……ラ、ラスティさん!?」
「ん? え? スコル?」
「ちょ、そこは……恥ずかしいです」
「へ? 恥ずかしい??」
俺はいったい、スコルのどこを触っているんだ!? 皆目見当もつかない。頭か? 胸か? お腹か? それとも足?
結局、それを確認する術はなかった。
なぜなら、シーツで俺の視界が遮られてしまったからだ。スコルは息を荒くして部屋を出て行ってしまった。いったい、何があったし……?
――スコルを追いかけて、甲板を目指す。
ハヴァマール達はまだ起きていないようだ。甲板に出ると――船は、静かな海に停泊していた。……おぉ、もう俺の島についていたのか。
船の先端にスコルの姿があった。
「スコル、さっきはすまなかった。許してくれ」
「い、いいんです。ちょっと嬉しかったですし、気持ちがビックリしちゃっただけなんです。だから気にしないで下さい」
こちらに振り向くスコルは、素敵な笑顔を向けてくれた。どうやら、怒ってはいないようだ。……良かった。
改めて謝罪すると、スコルは「気にしないで」と抱きついてきた。……なんか最近のスコルの距離感、近いな。でも嬉しい。
「やっと島に着いたな」
「はい、ここがわたしとラスティさんの“帰るべき場所”です」
「そうだな。一緒に帰ってこれて良かった」
素直に気持ちを打ち明けると、スコルは瞼を閉じた。桃色の唇を僅かに突き出し、何かを待っていた。
こ、これって、もしかして――。
急にドキドキしてきた。
スコルがキスを望んでいる?
俺は……どうしたいんだ。
スコルとこれからも一緒にいたいし、傍にいて欲しい。だから……。だからこそ、俺は気持ちに応えようとスコルの肩に手を置いた。
ぴくッと肩を竦ませるスコル。
目尻には一粒の涙。
ずっと待っていてくれたのか。
なら、俺は――。
ゆっくりと、顔を近づけていったその時だった。拠点にある家が爆発を起こした。ドォォンと激しい炎を上げ、煙が上がっていた。……ま、まさか!
「ラスティさん、これって……」
「……アルフレッドとエドゥが危ない!! 行くぞ!」
「はいっ」
俺は、スコルを連れて拠点を目指した。
頼む。無事でいてくれよ、二人とも。