本で読んだことがある。僕が生まれ生活をしているこの国では、本来季節というものがあり、1年間が4つの時期に分けられていた。
春は桜というピンク色の綺麗な花が咲き乱れ、夏は気温が暑くなるので、青い海に入って遊んだり、冷たい飲み物を飲んで涼む。秋には過ごしやすい気温になり木から紅葉と呼ばれる赤い葉ができて周りを心地の良い赤色に染めあげ、そして冬は寒くなり空から雪と呼ばれる白い結晶が降ってきて周りを白く染める。
本来この国では季節によって周りの景色や環境が変わり、それぞれの季節に美しい光景、そして季節の色があった。
では今のこの国はどうだろう。周りには高い建物がぎっしりと並んでおり、空を見上げれば汚染された空気によって灰色に染まっていて、地上も建物やロボット、人によって作られた枯れることのない植物など、自然が生み出した色がない。
時期によってこれらの景色が変わることはなく、気温も空を一年中飛んでいる大量の飛行船が送り出している空気によってほぼ一定に保たれ、暑いとか寒いとかという概念もない。
もうこの国には季節がなくなってしまったのだ。最も僕が生まれた時からこの状態なのでこれが普通になっているのだが。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!