コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
僕の名前は石田和也。小さい頃から僕には好きなものがあった。ロボットである。理由を聞かれても特に説明ができない。ただ小さい頃はロボットをかっこいいと思っていただけだった。
僕の父さんとお母さんは僕がロボットが好きなのを知って、6歳の誕生日に小動物型のロボットを買ってくれた。
僕はそのロボットをチコと名づけ可愛がった。チコは人の言葉を喋れないが搭載されているAIにより感情を持っていて、イヌとかネコに近いものだった。数が減って希少になってしまったイヌやネコなどの愛玩動物の枠をロボットが担っていたのだ。
一方で僕は人間関係が苦手で友達ができず、そのため僕の友達はチコだった。親はそんな僕をあまり心配はしなく、好きなようにすればいいというスタンスだったので、幼少時代の僕は家にいてチコと一緒に遊んだり、本を読んだりしていた。
そんな僕でも12歳の時に夢ができた。チコが壊れてしまった時である。原因は経年劣化だった。とても悲しかった。普通は壊れたロボットは廃棄処分だが、僕はどうしてもそれが嫌で、動物ペットが死んだ時に埋葬するのと同じようにチコの墓を作り、そこへチコを埋めた。この時僕に一つの考えが生まれた。
この頃のロボットは安価で買えるものもあったが、そういうものはすぐ壊れてしまっていた。チコだって安いロボットであり、普通なら5年くらいで完全に壊れてしまうものを父のメンテナンスによって劣化を和らげていたのだ。
一般市民には高機能なロボットは行き渡っていなかった。高性能で長く壊れない、感情を持った愛玩ロボット、もっと言えばヒト型で、人間と対等な関係を築くことができるようなロボットをたくさん作り出し、世の中に溢れさせたい。単純であるものの、これが当時の僕の夢であった。
僕は夢を叶えるために必死に勉強をした。小さい頃から本をたくさん読んでいた影響か僕は地頭は良かったみたいで、成績を伸ばし国内で一番機械について学べる大学に入学することができた。そして大学で機械について学び終えた僕はそのまま大学院生となり現在に至る。
第2章 メモリーの記憶