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#普通
野々さくら
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ありあ
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それから数日後。
一同は8月20日にTAMAYAのライブが開催される予定のZapp DiverTownTOKYOを訪れていた。
広々とした施設内を歩きながら、美沙が申し訳なさそうに口を開く。
「ごめんね、わざわざ来てもらっちゃって
本来なら私が迎えに行かなきゃなのに」
「いえ、いいんですよ。美沙さんは
TAMAYAさんのリハーサルで忙しいでしょうし」
「ふふふ、ありがと」
そんな二人の会話を聞いていた茜が、待ちきれない様子で尋ねる。
「てか、もうTAMAYAはリハしてるんですか?」
「ええ、こっちよ」
「やった〜♬会えるぅ〜♬」
途端に目を輝かせる茜。
その様子を横目に、美月は大きなため息をついた。
「はぁ~・・遊びに来たわけじゃ
無いってわかってる?」
美月の冷たい視線に、茜はそっと目を逸らした。
一同はどこか浮き足立ちながらも、美沙に案内されるままリハーサル会場へと向かう。
◇ ◇ ◇
そして、ライブ会場へ足を踏み入れた。
「うわっ!結構広いんだね!」
目の前に広がる空間を見渡し、茜が目を見開いた。
信愛も客席を見渡しながら、素朴な疑問を口にする。
「キャパってどのくらいなんだろ?」
「ライブの形式によって変わってくるんだけど」
美沙は慣れた様子で説明を始めた。
「Zappは基本的にガッツリ盛り上がる
立ち見スタイルのスタンディングメインで
2473人入れるの。
1階に2107人、2階は座席214人と
スタンディング152人って感じかな」
「結構入れるんですね」
信愛が感心したように呟く。
「逆に着席でゆったり座って楽しむ
スタイルだったら1102人入れるわ
1階に888席で、2階に214席って感じかな」
その説明を聞いて、信愛は少し考え込んだ。
「立って楽しむ前提のライブと、座って
楽しむ前提のライブがあるって事ですか?」
「その通り!」
美沙は笑顔で頷く。
「出演するアーティストによって雰囲気がガラリと
変わるのが、Zappの魅力のひとつなのよ」
それまで黙って聞いていた焔垂が、美沙へ尋ねる。
「TAMAYAはどっちのスタイルでライブを?」
「基本的にスタンディングスタイルね」
「スタンディング?」
信愛の反応に、焔垂が少し意外そうな顔をする。
「雰囲気的に座席スタイルだと思ってました」
「確かにそうね」
美沙もその印象には同意するように頷いた。
「摩耶さんの曲調的に座席メインで
ゆったり聴くのが適してるわよね」
そこで美沙は、少しだけ意味ありげに笑った。
「けど、これは摩耶さんのこだわりなの」
「こだわり?」
「座席メインだと、どうしても
入れるお客が減っちゃうじゃない?」
「まあ、確かにそうですね
1000人くらい違ってきますもんね」
さくらは客席を見渡しながら納得したように呟く。
「摩耶さんはより多くの人に歌を届けたいって
言って、あえてスタンディング
前提のライブにこだわってるのよ」
美沙の説明に、さくらは納得したように小さく頷いた。
「なるほど・・・」
「スタンディングの方が色んな人が入れますからね」
朝陽も客席を眺めながら口を挟む。
美沙は嬉しそうに頷いた。
「それにスタンディングスタイルだと
お客同士が密着するから一体感が生まれて、
会場がひとつになるの。摩耶さんは
その雰囲気がはたまらなく好きらしいのよね」
「なるほど」
信愛が感心したように頷いた、その時だった。
「美沙さんさ?」
背後から突然、女性の声が聞こえた。
一同が振り返る。
そこに立っていたのは、今日のリハーサルのために会場を訪れていたTAMAYAこと種松摩耶だった。
「今日のリハなんだけど──」
その瞬間「た、た、たた、TAMAYA!?」
茜の絶叫が、まだ観客のいない広い会場いっぱいに響き渡った。
摩耶が目を丸くする。
「ん?誰?」
「ああ、ごめんね摩耶さん」
美沙は苦笑しながら、信愛達を紹介する。
「この子達が言ってた、見学したいって子達」
「ああ、言ってたね」
事情を理解した摩耶が、にこやかに頷く。
すると茜が、緊張で身体を強張らせながら一歩前へ出た。
「あ、あの!」
声が裏返りそうになる。
それでも茜は、必死に言葉を続けた。
「ずっとファンです♬会いたかった~❤︎」
次の瞬間、茜は目に涙を浮かべながら摩耶に抱きついた。
「ちょ、茜!?」
信愛が慌てて声を上げる。
「コラ!お前何やってんだバカ!」
焔垂もすぐさま茜を引き剥がそうと腕を掴んだ。
「すいませんTAMAYAさん、すぐ引き剥がしますから」
「ほら!迷惑だろ!離れろって!」
「イヤッ!イヤッ!イヤ〜!!」
茜は摩耶にしがみついたまま、子供のように必死の抵抗を見せる。
だが「きゃはは♬いいよいいよ♬」
予想外にも、摩耶は楽しそうに笑った。
「こんなに喜んでもらえて、むしろ光栄だから♬」
そう言うと、摩耶は自分に抱きつく茜の頭を優しく撫でた。
「よしよ〜し」
その瞬間、茜の表情が一気にとろける。
「あぁ~サイコ~❤︎」
信愛達は、そんな茜を呆然と見つめるしかなかった。
憧れ続けた歌姫との、まさかの初対面。
茜にとってこの日の出来事は、リハーサルが始まる前から、すでに一生忘れられない思い出になっていた。
コメント
1件
茜の「ずっとファンです♬会いたかった~❤︎」からの抱きつき、もう完全にファンの鏡ですね(笑)。摩耶さんの「よしよ〜し」と優しく撫でる対応が想像以上に温かくて、思わず「そう来たか!」って拍手したくなりました。スタンディングスタイルにこだわる摩耶さんの「多くの人に歌を届けたい」という思いも、すごく素敵でした。次のライブ本番、どういう空気になるのか今から楽しみです!