今日の仕事は料理の盛り付け、って聞いてたのに、なんか私が盛りつけられてるんですけど……??
「おおっ! こりゃすごい! 生け造りじゃないか」
「本当だ、こりゃ見事だ」
「おい、もっと近くに寄せろよ」
「そうだそうだ」
口々に騒ぐお客さんたち。
「さあ皆さん、遠慮せずに召し上がれ」
女将さんがそういうと、みんなお酒を飲みながら料理を食べ始めた。
「お姉ちゃんも、ほら」
女の子が私の上の刺身を箸でつまんで、差し出してきた。
「い、いただきます……」
恥ずかしかったけど、断るわけにはいかない。思い切って食べた。
「おいしい?」
「う、うん」
「よかったね」
笑顔で言うと、その子は自分の食事に戻った。でも、周りの人たちは私を見て笑っていた。恥ずかしくて顔から火が出そう。
「ねえねえ、あっちのお皿に載ってるの何? マグロみたいだけど」
「ああ、あれは『ユッケ』っていうんだよ」
「へえー」
そうやって橋が進むうちに、だんだん刺身の数が減ってきた。でも、そうなると刺身で隠れていた、私の裸が丸見えになっちゃうのだ。
「そ、そんなに見ないでください……」
小さな声で抗議してみたけど、誰も聞いてくれない。それどころか、さらに注目が集まってしまったようだ。
「あの子、すごくスタイルいいね」
「肌もきれいだし」
「なんかエロいな」
聞こえてくる言葉に、ますます恥ずかしくなる。でも、抵抗することも出来ない。食べ物が残り少なくなると、子ども達が、箸で私の体を弄りはじめた。胸の先っぽとか、脚の付け根のところとかをつつかれる。
「あっ……んん……はぁん」
気持ちよくて、つい声が出てしまう。
「なあ、俺にも触らせてくれよ」
そう言って手を伸ばしてきたおじさんがいた。
「だめです!」
必死に叫んだ。
「そんなこと言わずに、ちょっとだけ」
「ダメだってば!」
その時だった。
「お客様、困ります」
板前さんが止めに入ってくれたのだ。
「なんだよ、ケチくさいこと言うんじゃない」
「申しわけありませんが、食材に直接手を触れるのはおやめください」
「ん、直接? じゃあ、箸ならいいのか?」
「それは……お客様が箸で食材をつかむのを、おとめすることは出来ませんから」
「へいへい、食材ね。わかりましたよっと」
そういうとおじさんは、箸で私をつつきはじめた。
「ひゃあん!」
思わず声を上げてしまった。すると、他のお客さんたちも騒ぎ出した。
「なによ、あの子感じてるじゃない!」
「やらしいわねぇ」
「ちょっと触られただけであんな声出すなんて……」
「いいわぁ、かわいいわよ」
さっき女中さんにさんざん弄られたから、体が敏感になんってるんだ。あっためるって、そういうことだったのか! 他のお客さんたちも集まってきて、私の体のあちこちを箸でもてあそび始めた。
「い、いやっ! もう許してくださいぃ」(続く)