コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
阿部ちゃんと並んで歩きながら、俺ははふと横目で彼を見た。
いつも落ち着いていて、冷静で、少し不器用に優しい。
その目が自分を見ている時間の長さに――実は前から気づいていた。
「……気のせいだよ」
阿部ちゃんがさっき笑って言った言葉を思い出す。
あの言い方、少し苦しそうだった。
(ほんとは……違うんじゃないの?)
胸の奥で、そんな予感がざわつく。
けれど確かめるのが怖かった。
もしそうだったら、自分はどうすればいいのか。
阿部ちゃんは大事な仲間。信頼できる存在。
その気持ちに答えられる自信なんて、今の俺にはない。
だから気づかないふりをして、いつも通り笑うしかなかった。
🩷「阿部ちゃん、明日も頑張ろうな!」
元気に声をかけると、阿部ちゃんは少しだけ安心したように微笑んだ。
その笑顔を見て、佐久間は胸が痛む。
――もしかしたら自分は、阿部ちゃんの想いを受け止められないまま、
ただ気づかないふりを し続けるしかないのかもしれない。
そう思いながらも、隣を歩く温もりを離したくなかった。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
NEXT……♡30